院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2015.04.02
A 湿潤療法では傷口は水道水でよく洗い、消毒もガーゼも使いません。創傷被覆材を使用して、傷を適度な湿潤環境に保つ治療です。
以前は、傷を乾かす治療法がとられ、傷が化膿しないように消毒しガーゼをあてるというものでした。ガーゼ治療はせっかく出てきた傷口を治すための浸出液がガーゼに吸い取られて蒸発してしまいます。その結果、傷口が乾燥し細胞が死んでかさぶたとなります。かさぶたが出来ると傷が治ったように見えますが、かさぶたは傷口を覆うのを邪魔するだけでなく、傷を化膿させる原因になります。また、ガーゼは傷口にくっついてしまうため、ガーゼを剥がす時に痛く、新しく出来始めた表皮細胞も一緒に剥がれてしまいます。
A ささいな傷や火傷でも受診してください。正しく治療することで、早く綺麗に治る可能性が高くなります。
A 損傷の種類によって、処置の内容が違ってきます。
ガラス片や刃物など鋭利なもので切れた傷です。手足においては比較的浅い層を走行する神経、血管、腱などの損傷を伴いやすく早期にそれらの損傷の有無を確認し適切な処置を受ける必要があります。一般的に周囲組織の損傷は軽度であり縫合処置などにより早期治癒が期待できます。
道路で転んだり、壁にぶつけたりして、皮膚がすりむけた傷です。皮膚損傷は浅く多くの場合縫合せずに治ります。しかし、創面に微細な土砂、ゴミなどが埋入し、治った後も皮膚の中に残ってしまうことがあります。この状態を外傷性刺青と言いますがこれを防ぐためには受傷後早期に創部の洗浄を行い細かな異物を除去しておくことが大切です。麻酔をしてブラッシングしたり、それでも除去しきれない場合は、顕微鏡で見ながら先端のとても細い特殊なピンセットを使用して丁寧に異物を除去します。
鋭利な器具が突き刺さって生じる傷で、傷口が小さくても奥行きが深いのが特徴です。異物が残っている場合には摘出が必要です。
動物に咬まれた後に生じる傷です。動物や人間の口の中は雑菌がとても多く、その雑菌が組織内に押し込められることにより受傷後感染して膿んでしまう頻度が最も高い傷の一つです。十分な洗浄、抗生剤の投与、破傷風予防注射などが行われます。処置としては、縫合して傷を閉鎖する(一次治癒)と感染が悪化するので、縫わずに軟膏などをうまく使用して傷を徐々に閉鎖させいてきます(二次治癒)。感染がないことを確認できたらその時に縫合処置をして傷を閉じることもあります。(三次治癒)