心肺停止患者に対して、CPR(心肺蘇生)を行います。医療者としての基本手技であります。
また、職種によって、より高度な心肺蘇生技術を提供することができます。
基本は良く言われますが、ABC(air way,bleathing,circulation)です。今回はBがテーマです。
意識がない人を見たら、A気道確保、呼吸がなければB人工呼吸、脈がなければC心臓マッサージです。
呼吸がない!とわかったら、人工呼吸をします。マウス・ツー・マウスです。しかし!見ず知らずの人になかなかできることではありません。もし、心臓が止まって脈がなければ人工呼吸にこだわらず、心臓マッサージを行うことで、胸郭に圧を加え少しの換気が期待できます。これは有効なことだと、言われています。
医療現場で、特に麻酔科、外科医がしばしば遭遇するのは呼吸抑制という、意識・呼吸が止まった状態(まだ心臓は動いています)です。このまま何もせずにおくことは無いに決まっていますが、仮に、この状況でうまく人工呼吸しないとどうなるか。数分すると心拍が弱くなり、止まります。すると心臓マッサージ、除細動が必要になります。しかし、心臓が動いているならば、やはり、人工呼吸をして、血液中の酸素分圧を回復する必要があります。
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収納時(折りたたまれています) |
医療現場ではアンビューバッグ、バッグバルブマスクなど、人工呼吸用のマスクを当てて、ゴム製のバッグをつかって、空気、もしくは酸素を送り込みます。一時的でなければ、気管挿管といって、気管に太い管を挿入して、バッグを接続して揉みます。
もし、医療現場でなければ、ポケットマスクが有効です。
写真のようにポケットサイズに収まるマスクを人工呼吸に使用します。
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使用するときの形 |
使用するときは手で簡単に組み立てます。
左のようにさらに一方弁のついたアダプターがあるので、患者の呼気を直接吸い込むようなことはありません。
左は小児用です。別売りです。
しかし、下の図に示すように幼児であれば、大人用でも、ある程度代用できます。
図は基本的な呼気吹き込みによる人工呼吸の様子です。両手で下顎挙上し、胸郭の上昇を目視で確認しながら行います。下の図は乳幼児ですが、頤挙上法で気道確保し行います。
さらに、下の図は大人用を上下逆にして、幼児に使用しています。
収納するとこういったケースに入っています。ベルトなどに装着できますが、普段から身に着けているのは救急隊や、救命医、研修医ぐらいで、一番もってておいた方が良い一般の人が持っていることはないでしょう。
ここで、一つ疑問ですが、人間の呼気って、酸素あるの?ということです。
あります。大気の酸素は21%という濃度ですが、呼気中の酸素濃度は16~19%と言われます。
私は、とある状況のため、医療現場で自分の呼気をこのようなマスクを利用して吹き込んだことがあります。サチュレーションといって、酸素飽和度という、血液中の酸素量の目安があります。通常、99~100%ですが、強い喘息発作で90前後になります。急に90%になったりすると、苦しくて耐えられませんし、意識が薄れます。呼吸が停止して、1分程度で、80ぐらいなります。(事前に酸素投与されていたら違います)そして、さらに2~3分すると60%ぐらいになり、心拍数が30前後になり、心停止に至ります。
自分の呼気を吹き込んでみると、92%ぐらいに回復しました。これであれば、すぐに心停止することはないと思います。マウス・ツー・マウスの重要性がわかります。