院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2019.05.17
第62回日本形成外科学会が札幌で行われ、参加してまいりました。今回の特徴の一つ、北海道の歴史について、多くの特別講演を拝聴することができました。印象に残った、北海道大学名誉教授藤田正一先生の講演について、簡単に備忘録と、私の感想を記しておきます。
いつも千歳空港で目にするこの看板ですが、これを土産に買うことはなかったんです。なんか、よく意味が分からず、定番ぽいな~と思ってまして。
しかし、ここには、私にとって教訓となる精神が詰まっており、また、日本の近現代の教育に大きく影響した歴史を垣間見ることができるのです。
明治の初めに北海道の開拓がはじまりました。黒田清隆開拓次官の殖産により、「学問なくして開拓なし」の考え方から札幌農学校が創られ、有名なクラーク博士をアメリカから招聘しその教頭としたのです。
私はクラーク博士の名前は知っていますし、銅像も見に行ったことがあるのですが、この、札幌農学校とクラーク博士が、現代の日本の教育にいかに大きな影響を残したのか、そして黒田清隆の功績をよく知りませんでした。学問なくして開拓なしという言葉は、今こうして年齢を重ね社会経験を積んでいくと、私なりに実感するところですし、精神的な支えにもなる、とても良いフレーズと感じました。
赴任したクラークは、校則を無くし、「Be Gentleman」と教えます。直訳すると紳士たれ、ですが、規則で人間は造れないということです。自身で考え、行動を制し、道理や原理に従うことが大切であると思いました。クラークの人格主義教育をよく表している言葉です。民主主義社会の多くの事柄にも通じる精神と思います。
また、8か月の札幌滞在を経て、帰国の際には「Be Ambitious」と言い残すのですが、私は「大志を抱け」という漠然としたものしか知りませんでした。ここには「青年よ大志をもて。それは金銭や我欲のためにではなく,また人呼んで名声 という空しいもののためであってはならない。人間として当然そなえていなければならぬあらゆることを成しとげるために大志をもて」(https://www.lib.hokudai.ac.jp/collections/clark/boys-be-ambitious/ 北海道大学附属図書館HPから引用)ということで、地位や名声のために生きるのではないという、精神的な価値観を表しているのです。
札幌農学校から、日本中に重要な人物にその精神を教育し、送り出し、明治の発展がなされます。札幌農学校はのちの東北大学、北海道大学となりますが、当時、他の国家主義の帝国大学と並んで、札幌は現代の民主主義の源流となっていく、近代史上重要なものとなり、その背景には黒田清隆やクラークの存在があったということです。
今回は他に、
大垣市民病院の森島先生が、女性医師のキャリアについて講演されていました。このセッションで女性医師が、仕事と家庭の両立ができるか、その中でキャリアをどのように積んでいくのかディスカッションされています。演者の先生は、苦悩しながらそして、目標を常に定めながら、男性医師と同等かそれ以上のキャリアを積まれています!素晴らしい!
学会の後は・・・
左から、まぶたのお医者さん金沢雄一郎先生、ヴェリテクリニック福田慶三先生、常滑のいのう皮フ科形成外科の伊能和彦先生と遅くまでご一緒させていただく機会がありました。大先生ばかりで、私はお邪魔だったかもしれないです・・・。手術のことやクリニック運営のことなど、たまってた疑問をお聞きすることができ、明日からの臨床に生かしたいと思います。ありがとうございました。
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