院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2022.09.15
男性型脱毛症AGAは2017年に日本毛髪医学会から診療ガイドラインが示されています。
治療の土台となるものは5α‐還元酵素阻害剤であるプロペシア(フィナステリド)とザガーロ(デュタステリド)の内服療法です。これにより脱毛の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制して進行する脱毛のメカニズムを食い止めます。他のどの治療法よりも強く勧められるものでこれを始めなければ先へ進まないと思ってください。ときどき、ミノキシジルタブレットの内服を希望される方がお見えになりますが、ミノキシジルタブレットより、まず内服すべき薬です。なぜなら、ミノキシジルタブレットは発毛を促進するもですが、脱毛を止めるものではないからです。まず抜けないようにして発毛育毛させないといけません。
プロペシアの作用機序はⅡ型の5α‐還元酵素(体内の各所でDHTを産生するもの)を阻害します。ザガーロはⅠ型とⅡ型の双方の5α‐還元酵素を阻害します。この二つの薬はどちらも勧められるものとして位置づけられていますが、どちらを選べばよいかとよく聞かれますし、診察ではその説明を十分にしています。
どちらを内服しても見た目の効果はあまり変わりないように思えます。実際その根拠となる論文も多数あります。しかし、日本や韓国を中心に前頭部の薄毛が気になる場合、デュタステリドの方が優位に有効であるという論文もあります。これは見た目ではなくて、専門的に毛の太さや本数を計測して出した結論です。ならば、デュタステリドの方が優れた薬と思うかもしれません。ここで、考えるべきことは3点あると思います。
フィナステリドもデュタステリドも当初、副作用率はあまり変わらない、むしろデュタステリドの方が少ないようなことが言われていました。しかし、
①デュタステリドはⅠ型の5α‐還元酵素も阻害するので、これが肝臓の機能などに何か影響することはないのか、ということです。いまのところはっきりしていません。
②アメリカやヨーロッパでは、デュタステリドが承認されていません。なぜか。いろいろな理由があるようです。
③デュタステリドは精子の数が通常より30%弱少なくなるという論文が2007年に出ています。これは考慮すべき、根拠のある副作用となります。
投与のアルゴリズム
①挙児希望ならプロペシア(フィナステリド)
②挙児希望ではなく、前頭部に薄毛が目立つならザガーロ(デュタステリド)、頭頂部を中心に心配な方はプロペシア(フィナステリド)
③プロペシア(フィナステリド)で効果が不十分と感じる場合はザガーロ(デュタステリド)に変更
③ミノキシジルタブレットは強く希望される場合に注意点をご説明し、納得された方に内服いただきます。この場合もいずれかの5α‐還元酵素阻害剤は必須です。
他院で内服薬を処方されている方に聞くと、何を内服しているかよくわからないという方が見えます。一包化された2剤を内服しているが、どの薬かわからない、とか。もしかするとデュタステリド(海外製でどの国のもで認可されたものかよくわからない)とミノキシジルタブレット(海外製でどの国のもで認可されたものかよくわからない)を処方しているのかと想像します。
でも上記のように薬剤を選択する材料はいくつかありますから、私はそれを考慮して個々の患者に合わせた処方が必要と考えています。
当院のAGA診療はさらに詳しく治療について説明します。年齢を問わず、プロペシア内服歴14年の院長にご相談ください。
カテゴリ:AGA(男性型脱毛症)・女性の薄毛 院長ブログ