院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2017.07.09
世の中の日焼け止めには、紫外線吸収剤(紫外線を吸収し肌に到達させないもの)と紫外線散乱剤(紫外線を反射させ肌に到達させないもの)という成分の2種類があります。
紫外線吸収剤は化粧品として加工しやすいのが利点です。SPF値も高く作ることが可能で、肌から取れにくいよう界面活性剤との相性も良いです。しかし、有機化合物であり、紫外線を吸収すると肌に刺激のある物質に変化します。つまり肌に良くないということです。
一方、紫外線散乱剤は化粧品にすると白く浮きやすく、加工しにくく、SPF値を高く作ることが難しいのが欠点です。しかし、天然ミネラル(鉱物)でできているので、無機物です。つまり肌にアレルゲンとなったり、刺激になることが非常に少ないため、肌に優しいと言うことです。
日本皮膚科学会では、日常的にSPF15~30、PA+以上のサンスクリーン剤を使用することを勧めています。これは美容のみで無く、日光角化症(SCCの前がん病変)や基底細胞がんの予防のためにも大切なことです。日頃からSPF50の紫外線吸収剤を使用することは、逆に肌に対して刺激となり痛めかねません。
SPF(サンプロテクションファクター)とは、UBVを防ぐ効果を示し、最大50+の製品があります。SPF15とは、たとえばUBVを浴びると10分で赤くなる人が10分×15=150分、つまり塗らないときに比べ15倍赤くなるのを延ばせるということです。日焼けやしみの原因です。
PA(プロテクショングレイドオブUVA)とは、UVAを防ぐ効果を示し、最大PA++++の製品があります。しわなど、真皮コラーゲンへのダメージの原因です。
紫外線散乱剤で構成される化粧品は肌に優しく日常的に使用すべきです。ほとんど外出しないのでしたら、日頃からビタミンAを使用していただいていると紫外線にも強いので使用しなくても良いと思います。しかし、10分でも外を歩くなど、外出があるのでしたら使用すべきと思います。紫外線散乱剤でSPF値も満たすものも多いです。しかし、海やプールなど、レジャーとなると肌なじみがよく、落ちにくい紫外線吸収剤を使用しないと仕方が無いのかなと考えます。SPF50PA++++ということです。
最近は紫外線吸収剤でも、肌に刺激とならない工夫が売りの日焼け止めも市販されているようです。また、紫外線散乱剤でもSPF値が50のものはいくつかございます。
薬局では紫外線吸収剤が使用されていないもは「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」「紫外線吸収剤不使用」と書いてあります。(成分表に載っています。)
エンビロンのラドローションは紫外線吸収剤と散乱剤と両方でできているのですが、肌へ低刺激となる工夫や、他の美容成分、抗酸化成分がたくさん使われており、美容液のように使用可能です。もちろん日常的に使用を推奨しています。レジャーの場合は必ず3時間程度で塗り直しをして使用してほしいです。SPF16ですが、塗り直しをすると焼けません。
ビューティフルスキンのUVミルクですが、こちらは完全に紫外線散乱剤のみでできています。SPF30ですが、こちらも塗り直しをしないと焼けるような印象があるので注意してください。しかし、この製品は化粧水感覚でジャブジャブと使いやすく、軽いです。もちろん肌へ刺激になりにくいです。少し塗り始めは皮膚からはじかれるように見えますが、ゆっくりなじませていただければ大丈夫です。
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ