院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2020.04.27
今日4/26の朝は大変さわやかな晴天でした。私は朝6時から岐阜市内をランニングしました。本来なら今日は「ぎふ清流ハーフマラソン高橋尚子杯2020」が行われる予定の日(もちろん中止ですよ)。コースの一部である長良川湖畔の河原町から鏡岩までを気持ちよく走ることができました。マラソン日和を感じながら、covid-19を恨みながら・・・。その途中、長良川温泉の旅館を何件か過ごしていきます。入り口には旅館休業のお知らせです。長良川温泉旅館協同組合は今般の事態を受け、特定のホテルに予約客を集客し、人件費や光熱費を抑えるとともに施設の全滅を避ける作戦に出たようです。全国初の試みとのこと。早朝のニュースでそれを知り、その現場を走ったので、地元の苦渋の決断とその努力を肌で感じることができたような気がしました。
「Education is what remains after one has forgotten everything he learned in school. The aim must be the training of independently acting and thinking individuals who see in the service of the community their highest life problem.
教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れてしまった後に、自分のなかに残るものをいう。そして、その力を社会が直面する諸問題の解決に役立たせるべく、自ら考え行動できる人間をつくること、それが教育の目的といえよう。」
このアインシュタインの有名な名言が思い出されました。学校教育では知識の習得が主体となっています。この知識は使いこなしていかねば役に立ちません。しかし、個々の事柄にはその考え方やプロセスがあり成り立っているはずです。そこをよく学んで自分の経験として、知識を忘れてしまっても考え方や問題解決の方法を見いだせるようになる、これが教育の結果であるべきだと。私はこのように解釈しているのです。
また、紀元前に哲学者ヘラクレイトスは、
Much learning does not teach understanding.
と、まったく同じことを言っています。人類の進化と文明の発展はきっとこの精神が礎になっていること感じます。この長良川温泉旅館協同組合の取り組みが、吉と出ることを祈ってやみません。今般の事態の収束と、今後起こりうる社会情勢の大きな変化に、社会も私たち個人もその真価が試されることでしょう。
昨年の清流マラソンで千鳥橋からの長良川
岐阜公園や伊奈波神社、岐阜市の誇る都市と自然の調和の象徴ですが、気持ちよくランニングするも、ラジオ体操をされている高齢者の集団を見かけました。とても良い習慣でしょうが、いくらsocial distancingといっても帰りはワイワイとグループで帰る。日本は今ステイホーム週間。清流マラソンの中止を悔やみ、旅館の苦悩を引きずり走っていましたので、これが若干違和感に感じてしまいました。なぜ、今なのかと。家でできること思うからであり、大切な人を守る週間ではないのかと。個人的な意見ですよ。その考え方を知りたい。
人はひとりでは生きていけないからこそ、お互いが思いやること。これはあたりまえのことです。相手のことや社会のことを深く考えて想像して行動したいものです。学校で教わったことを忘れても、このことは、できないといけない!当院のスタッフにも常にこのことを伝えながら、より良いクリニックになるよう努力を重ねたいと改めて感じています。
株式会社メディカル・プリンシプル社さんが発行する雑誌のエッセイに山本義隆先生の名言が引用されており、受け売りですが、共感しているので私も書かせていただきたいです。
「専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するにものごとを自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。たった、それだけのことです。そのために勉強するのです。」
これができたら社会も自分も調和して良い生き方になると信じています。知識を忘れても何かが残りますし、相手が残してくれるかもしれない。私のような凡人にはバランスが大事。この言葉は患者さんとの向き合い方にも通じており、バランスよく(精神的にも実際の医学も)診療が運ぶ、これからもその努力を惜しまずと、改めて感じています。
ランニング終盤、向かいから私も持っている昨年のQちゃんTシャツを着て走っている方が見え、きっと同じように今日を感じて走っているのかなと、想像しました。来年はクリニックのオリジナルTシャツで走りますよ!もう作ってしまっていますから!
別の日に瞑想のこみちから見た長良方面
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2020.01.08
あけましておめでとうございます。平素より当院をご利用いただきまして、皆様には深く感謝申し上げます。
当院は今年で開院5周年を迎えます。5年間で少しずつ地域の皆様と交わる機会を多くいただき、当院の診療理念である、形成外科領域の地域への普及に対し順風に活動させていただいております。誠にありがたい限りでございます。一方、医院運営に関しまして、昨今の人材不足、資材をはじめとする物価の上昇等により、患者様の受け入れ拡充に向けて、なかなか進めがたい現状もございます。しかし、少数のスタッフだからこそできる、心からの患者様対応を、維持さらには向上できるように日々努力することは、どんな背景があろうとも、取り組み続けるべきことであると、肝に銘じております。医療技術やインフォームドコンセントなどは、質を維持し、至らない点を学び続けます。新しいものや皆様がご興味をお持ちの事柄をどんどん取り入れていきたいと思います。
本年も変わらぬご愛顧のほど、何卒、よろしくお願い申し上げます。
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2019.05.17
第62回日本形成外科学会が札幌で行われ、参加してまいりました。今回の特徴の一つ、北海道の歴史について、多くの特別講演を拝聴することができました。印象に残った、北海道大学名誉教授藤田正一先生の講演について、簡単に備忘録と、私の感想を記しておきます。
いつも千歳空港で目にするこの看板ですが、これを土産に買うことはなかったんです。なんか、よく意味が分からず、定番ぽいな~と思ってまして。
しかし、ここには、私にとって教訓となる精神が詰まっており、また、日本の近現代の教育に大きく影響した歴史を垣間見ることができるのです。
明治の初めに北海道の開拓がはじまりました。黒田清隆開拓次官の殖産により、「学問なくして開拓なし」の考え方から札幌農学校が創られ、有名なクラーク博士をアメリカから招聘しその教頭としたのです。
私はクラーク博士の名前は知っていますし、銅像も見に行ったことがあるのですが、この、札幌農学校とクラーク博士が、現代の日本の教育にいかに大きな影響を残したのか、そして黒田清隆の功績をよく知りませんでした。学問なくして開拓なしという言葉は、今こうして年齢を重ね社会経験を積んでいくと、私なりに実感するところですし、精神的な支えにもなる、とても良いフレーズと感じました。
赴任したクラークは、校則を無くし、「Be Gentleman」と教えます。直訳すると紳士たれ、ですが、規則で人間は造れないということです。自身で考え、行動を制し、道理や原理に従うことが大切であると思いました。クラークの人格主義教育をよく表している言葉です。民主主義社会の多くの事柄にも通じる精神と思います。
また、8か月の札幌滞在を経て、帰国の際には「Be Ambitious」と言い残すのですが、私は「大志を抱け」という漠然としたものしか知りませんでした。ここには「青年よ大志をもて。それは金銭や我欲のためにではなく,また人呼んで名声 という空しいもののためであってはならない。人間として当然そなえていなければならぬあらゆることを成しとげるために大志をもて」(https://www.lib.hokudai.ac.jp/collections/clark/boys-be-ambitious/ 北海道大学附属図書館HPから引用)ということで、地位や名声のために生きるのではないという、精神的な価値観を表しているのです。
札幌農学校から、日本中に重要な人物にその精神を教育し、送り出し、明治の発展がなされます。札幌農学校はのちの東北大学、北海道大学となりますが、当時、他の国家主義の帝国大学と並んで、札幌は現代の民主主義の源流となっていく、近代史上重要なものとなり、その背景には黒田清隆やクラークの存在があったということです。
今回は他に、
大垣市民病院の森島先生が、女性医師のキャリアについて講演されていました。このセッションで女性医師が、仕事と家庭の両立ができるか、その中でキャリアをどのように積んでいくのかディスカッションされています。演者の先生は、苦悩しながらそして、目標を常に定めながら、男性医師と同等かそれ以上のキャリアを積まれています!素晴らしい!
学会の後は・・・
左から、まぶたのお医者さん金沢雄一郎先生、ヴェリテクリニック福田慶三先生、常滑のいのう皮フ科形成外科の伊能和彦先生と遅くまでご一緒させていただく機会がありました。大先生ばかりで、私はお邪魔だったかもしれないです・・・。手術のことやクリニック運営のことなど、たまってた疑問をお聞きすることができ、明日からの臨床に生かしたいと思います。ありがとうございました。
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