院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2014.07.27
たるみといっても顔の各部位にたるみが生じ、気になる症状は様々です。またそれにより治療方法も変わってきます。
たるみと訴える方は、目元、頬、フェイスラインの下垂症状のことが多いです。
手術でたるみを取ることが最も効率が良いのですが、何と言っても機器で切らずに、ばれずに、少しずつというのが人気です。
私は目元や頬などは、比較的傷あとが目立たず、効果的に治療可能なので手術が好きなのですが、人はそれぞれ生活がありますし、何より切るのは怖いと思います。
機器を顔に当て、たるみを改善する施術でトレンドの一つをご紹介します。
✴︎高周波治療 RF(アールエフ)
商品名でサーマクールという機器が代表格ですが、似たようなものがたくさんあります。
高周波という電磁波を一種を照射し、真皮に熱損傷を与えるものです。損傷した瞬間にその部位は引き締まります。そして熱の刺激が新たにコラーゲンを作らせ、長期的に引き締まった肌を維持させるものです。
✴︎超音波治療 HIFU(ハイフ)
ここ最近急速に広がっている印象の治療です。超音波はよく健診などでも腹部や心臓、胎児を観察する画像検査として知られています。この超音波という音の波長を収束させ、皮膚の下にある筋膜層(SMAS)に熱損傷を与える治療です。たるみの手術でフェイスリフトという手術がありますが、その手術で引き上げるのはこの筋膜層であり、HIFUでは熱損傷で筋膜を収縮変化させることで引き上げさせ(イメージを例えると・・・お肉を焼くと縮まります)さらにその修復機転でコラーゲンを造成、リモデリング(再構築)させて長期的に効果を維持させます。商品名でウルセラが代表的ですが、こちらもいろいろな機器が、それぞれ特徴を持って作られています。
たるみ治療として挙げられている機器には、他にも近赤外線治療器や、光治療器、レーザー治療器がありますが、いずれも真皮の引き締め作用が目的です。HIFUはさらに深く作用し、引き上げ作用があると言えます。
理想的には、これらのコンビネーションで治療するのが最も効果が出ます。単独治療でも、これまで成績を上げてきてはいますが、真皮・皮下脂肪・SMAS筋膜層といった様々な深さに同時に作用させるのが、今後主流になると思います。そして切らないフェイスリフトと言われるHIFUはたるみ治療の主役になるものと思います。
RFとHIFU、照射間隔は機器やクリニックによって随分差がありますが、何回か続けてみるのが効果的です。
RFは1ヶ月から6ヶ月間隔、HIFUは3ヶ月から1年といった感じです。
コースとしては、まず初回、同時照射を行い、次はRFを単独で適宜追加照射、次にまた同時照射といった感じで施行されてはいかがでしょうか。
2014.07.27
せっかくクリニックで耳ピアスを開けるので、施術後に起こりうるトラブルについてもご理解して頂き、万が一トラブルが起こっても、適切に対応できるようにしたいと思っております。
1.膿んでしまった。
細菌に感染して、ピアスが膿んじゃったという状態です。腫れ、赤み、痛みが急速に悪化するので容易にわかります。
抗生物質という薬で治療しますが、改善がなければ、ピアスの除去をすることも多いです。この場合、ピアスホールが閉じてしまうことが多いので、鎮静化して再穿孔することがあります。しかし絶対に閉じたくないという希望が強いと、細いチューブに置き換えて粘ることもありますが、無理はしない方が良いと思います。
軟骨で感染すると、軟骨膜炎を起こし、膿がたまったり、耳が変形する原因になり得ます。
感染予防は、日頃からシャワーでよく洗って清潔を心がけることが大切です。消毒液を付ける必要はありません。
2.孔が閉じてしまった。
耳たぶで1ヶ月以上、軟骨では3ヶ月以上はファーストピアスを装着すべきと思います。それ以前で外すと傷が治ろうとしてすぐ癒着し、閉じてしまいます。
また、ピアスホールが完成しても、数ヶ月間は孔が硬くしこりのように触れる場合があります。この期間中に全くピアスを装着しないと軽度の拘縮といって、孔が狭くなってしまうことがあります。半年間ぐらいは一日一回はピアスを装着することをお勧めしています。
孔の中に粉瘤といって、脂肪の塊のような袋が形成されてピアスが通らなくこともあり得ます。
3.ピアスケロイド
稀ですが、形成外科の外来ではよくお見かけします。孔は言い換えれば傷を作った状態です。この傷を体が修復しようとするのですが、体質によっては、過剰に修復機転が働き、線維性の肉の塊ができて大きな赤いしこりを作る状態です。
一度起こると、手術で取ったり、局所注射をしたり、圧迫療法といって特殊な装具を耳に長期間つけなければいけない状況になることもあります。
4.金属アレルギー
ファーストピアスは純度の高いチタン製もしくはステンレス製を使用します。これらにアレルギーがあれば、赤みやかゆみなどの皮膚炎を起こし、除去を余儀無くされます。
始めからわかっていれば、樹脂製のファーストピアスを選択します。
孔が完成してからも、メッキのピアスなどでアレルギー反応ををおこすこともあるので注意が必要です。
5.肉芽形成(にくげ)
どのような傷でも、治すためにはコラーゲンをそこでたくさん作って、足場を固め、最終的に皮膚(上皮)を再生させて直します。しかし、なかなか皮膚が張らず、コラーゲンの塊がもりっと赤く孔のまわりにできてしまうことがあります。ケロイドは上皮に覆われていますが、肉芽は傷の状態です。ステロイドなど軟膏で対応していきます。
主なトラブルを挙げてみました。頻度が高いわけではないですが、誰にでも起こりうる可能性はあるので知っておきたい事柄だと思います。
カテゴリ:ピアス
2014.07.25
ピアス、今や広く普及して、美容皮膚科でも人気のある施術です。
部位と角度は、患者満足度の重要部分です。ちなみに他にはスタッフ対応などのサービス面もありますが、技術的に重要なことは、術後トラブルへの対応に関する事柄だと思います。(これに関しては次回に述べます)
当院では以下のように気を付けて行っています。
Ⅰ.施術者の目線の高さは最重要と思います。
場所は患者にマーキングをしていただきます。ロブ、へリックス、トラガスなどは医療用ピアッサーを使用します。必ず先行する部位の皮膚に垂直、もしくは希望の角度となるよう、自分の目線を穿孔部位の高さに合わせることがコツだと思います。
Ⅱ.患者の姿勢も大切。
これもかなり重要要素です。まずは姿勢を正して腰かけます。目線を遠くにしていただいて、首を傾けたりしないように保ちます。怖がったり、少し首を倒した方がやりやすいと勘違いしたりされますので、注意が必要です。
Ⅲ.穿孔角度はバランスを意識する。
ロブ(耳たぶ)は丸くて大きい方や、細くて小さい方、またまっすぐ前を向いている方、少し上向きの方などなど、千差万別で、しかも意外に左右差が大きいです。基本的には皮膚面に垂直に開けますが、例えば上向き気味の方に垂直に開けると、ファーストピアスの石が上を向いてしまいます。ご希望にもよりますが、垂直に開けることにこだわらず、より、自然に見える角度のバランスを考えて調節しています。
Ⅳ.ハンドで開けることもあり。
インダストリアルは、へリックスの前(脚)と後方の2か所に穿孔し、一本のバーベルを付けるものですが、初めからインダストリアルにすると決めている方にはピアッサーではなく、長いガイド針を使用したハンドメードの孔をお勧めしています。
また、トラガス(耳珠)は外耳孔が狭かったり、キャッチが触りやすいように位置にこだわる方もハンドメードで開けることがあります。
Ⅴ.器具の特徴を理解しあう。
市販のピアッサーを使用すときはバネの力のみでは最後の貫通への一押しが足りない商品もあります。絶対にためらわないことが大切です。
医療用ピアッサーはバネの力は十分で、ためらうことは基本的にありません。しかし、先行した瞬間、バネのはじく『バチンッ』という、ちょっと大きな音がするものもあります。本番の前に器具を見せてから打ちしたりして確認してもらいます。本番ではビクッとならないよう、掛け声をかえて、せーので開けるようにします。
カテゴリ:ピアス
2014.07.24
カテゴリ:シミ
2014.07.22
ボトックス注射とは、一般的にA型ボツリヌストキシン注入療法と呼ぶものです。
この薬剤をある部位の皮膚に注入し、以下のような効果が得られます。
①表情ジワ(おでこのシワ、目尻のシワ、眉間のシワなど)を取る。
②肌のハリ・ツヤを改善する。
③汗を出なくする。(手のひら、わき、足の裏など)
④筋肉を痩せさせて、細くする。(エラ張り、ふくらはぎ)
⑤部分的な痙攣や硬直を止めたり緩めたりする。(目元のピクピクなど)
当院では上記全て対応可能です。(詳細は割愛します)
美容診療の中でもボトックス注射で前額(おでこのシワ)ボトックスは人気がある施術で、施術後、前頭筋を麻痺させ眉毛を上に挙げにくくするため、おでこのシワができづらくなるというものです。
通常、おでこに深く刻まれたシワがなければ、注入後3日目ぐらいからツルツルになり、大変喜ばれます。
しかし、筋肉を麻痺させるという性質上、喜ばれない作用も起こり得ますえ。皆が皆起こるわけでもありませんし、程度も様々です。多くの方ご満足頂くのですが、以下の副作用のことも知っていただきたいと思っています。
ⅰ,おでこが重く感じる。
これは1ヶ月以内には慣れて治まります。物が乗っている感覚だ、紙が張り付いたような感覚だと言われます。
ⅱ,上まぶたが重く感じる。
元々上まぶたの開きが悪い(眼瞼下垂やたるみ)方は、日頃から無意識に眉毛を挙げて目の開きを補助しています。(前頭筋開瞼) こういったときにボトックスで前頭筋を麻痺させると瞼の開きがさらに悪くなります。
ⅲ,目つきや表情がキツくなった。
おでこのシワはできなくなったが、友達や家族に表情がキツくなったと言われる方がいます。この原因は二つあると思います。
一つはⅱで述べたように、おでこの麻痺で眉毛の位置が下がり、目と眉毛の距離が近くなったため、目つきがキツくなったと感じるのです。
もう一つは“スポックブロー”です。これは眉毛の外側の方だけつり上がってみえてしまう現象です。なぜこのようなことが起こるかというと注入部位が関係します。通常教科書的には、おでこの端の方(眉毛の中央から外側あたりのおでこ)は注入を避けています。これはおでこの端のほうが麻痺して眉毛の外側が下がったら、逆に老けた印象になるからと言われています。しかし、おでこの中央のみ麻痺させるということは、眉毛の外側だけ上がって見え、表情がキツくなって見えます。
ⅳ,眉毛の端寄りのおでこにシワが残る。
これは上述のスポックブローと同じで、注入を避けた部位はしわ寄せができますから、この部位だけシワが残ります。
カテゴリ:ボトックス‐表情しわ
2014.07.20
切開式重瞼術という手術があります。埋没式重瞼術が切らない二重手術であるのと対照的に、上まぶたの全幅、もしくは一部分を切開、皮膚切除をおこない、二重になるように癒着させようと、縫合閉鎖する手術です。
さて、この縫合閉鎖。通常、縫い糸(縫合糸)の太さは6-0もしくは7-0と表記される糸(直径約0.06mm前後)を使用します。色は黒か青といったところです。素材はナイロンです。抜糸は1週間後に行うのですが、それまで、上まぶたには糸が付いていることになります。ただでさえ、1週間は腫れます!おまけに糸がついてたら、メガネかけてカムフラージュしようにもバレバレです。
当院では患者さんのご希望により、7-0白(透明)ナイロンで、目立たないように縫合します。
しかし!その場合、縫合時間は1.5倍、抜糸時間も1.5倍は余分にかかります。それは0.06mmの透明ナイロン糸って、裸眼ではかなり見えづらい!裸眼だと、縫合時は糸が見えにくいのでつかみにくく、瞬時に動作できません。抜糸時もまず糸のつかむ部分を探すので、とてもやりづらいです。
私は3倍の拡大鏡(老眼鏡じゃなく、手術用のルーペです)を使用して縫合、抜糸します。その方が丁寧に思えます。
基本的には黒ナイロンで縫合させてください・・・。目を開けているときは縫合糸は二重のラインに隠れて見えないのです。
カテゴリ:重瞼術(二重まぶた)
2014.07.20
体のどの部位でも、皮膚は角質に皮脂膜、その他保湿成分を含み、バリア機能を保つように機能しています。これが、外的刺激、疾患、外傷などでドライスキンになれば、さらに様々な皮膚トラブルを起こします。
保湿は褥瘡ケアに必須、もちろん、美容にも必須。そこで保湿剤はどのように選択しますか?ここでは化粧品の細かい話は割愛し、褥瘡や皮膚疾患に使用する薬剤を考えてみます。
形成外科医は傷に様々な外用薬を塗布します。それらの基剤としてワセリンは大変使いやすく、組み合わせるドレッシング(ガーゼの類ですが)にもよりますが、浸出液が少なくなってからは万能薬的に使うことができます。もちろん、専門的な話をすれば、傷や皮膚の状態によってさらに適切な外用薬、ドレッシング材はあります。ワセリン自体には薬効はないので、ひとまず経過を見たい時にも使えますし、傷がほとんど治ってから、ドライスキンの予防としてワセリンでそのまま保湿を続けてもらうことも多々あります。
私もワセリン信者になって、とうとう風呂上がりの自分の顔にも保湿目的で塗布するようになりました。しかし、最近、プロテアジャパンのエンビロンできちんとケアするようになったのですが、みるみる肌の状態が良くなりました。エンビロンについてはまた別で触れますが、やはりワセリンの保湿は良くなかったということに気づきました。
ワセリンは冬の風呂上がり、体も温まって既にドライになった皮膚に塗るのは勧められません。ワセリンは皮膚の保護作用は強いですが、水分を含ませる作用は乏しいのです。しかもローションやクリームに比べて硬いので塗り伸ばしに強く皮膚を摩擦してしまい、シミには絶対よくありません。
✴︎エモリエント効果・・・皮膚表面に油膜を作り水分の蒸散や汚染を防止します。ワセリンがその代表です。
✴︎モイスチャライザー効果・・・水と結合し保湿するものです。グリセリンや尿素ですが、いわゆるローション基剤のもの、例えばヒルドイドローションなどです。
お顔のお手入れはローション、乳液、クリームといった順序を、何気無く実践していますが、使う薬剤、化粧品の性質を理解して、バランス良く組み合わせることが大切です。
褥瘡診療においては、確かにカサカサならまずモイスチャライザーを使用し、エモリエント効果のあるものを組み合わせていくべきです。ドライスキンが軽ければ、保護目的にワセリン単剤で使うこともシンプルでわかりやすく、他剤の影響を考慮しなくても良いので合理的。稀にワセリンにアレルギー反応を起こす方もみえるので注意が必要です。
カテゴリ:治りにくいキズ-褥瘡(床ずれ)
2014.07.20
カテゴリ:治りにくいキズ-褥瘡(床ずれ)