院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2015.05.25
見た目にわかる「できもの」には、幾つもの種類があります。とても多く見られるのは皮膚内にできる粉瘤です。小さいものはよく「脂肪の塊」と言われれますが、粉瘤の中身は粥状物ですから、脂肪の塊ではありません。
脂肪腫というできものがあります。これは皮膚の下や、筋肉の中にできる良性の腫瘍です。正常な脂肪細胞が、大きくなっておできになります。本当の脂肪の塊です。全身どこにでも出来うるものです。
ガングリオンや滑液包炎は関節部にできるもで、別項で紹介する予定に致します。
さて、脂肪腫ですが、CTや超音波検査などで診断がつきますが、触診でも十分わかります。以下に粉瘤と脂肪腫の違いをまとめました。
粉瘤は皮膚の浅いところにできやすいので、皮膚を透かして青っぽく見えたりしますが、脂肪腫は表皮や真皮には異常がないのでただ皮膚が盛り上がっているだけです。
粉瘤は弾力が強く、固いことが多いのですが、脂肪腫は弾力はありますが、柔らかいです。
粉瘤はつまみ上げると皮膚とくっついた感じで持ち上がります。皮膚の下とはくっついていない感じです。脂肪腫は皮膚とくっついた感じではなく、その下にある感じがわかります。同様に皮膚の下とはくっつている感じはしません。
粉瘤は良く細菌による感染を起こします。脂肪腫は感染は少ないです。いづれも増大してくることはよくあります。
摘出が唯一の治療です。粉瘤はporeと呼ばれる皮膚を含めて切除摘出しますが、脂肪腫は皮膚は切開のみで摘出します。粉瘤にはくり抜き法といって、皮膚パンチで小さな穴をあけて袋を取り出す方法がありますが、脂肪腫にも小さな穴から脂肪吸引を行って脂肪腫を縮小させて取り出す方法があります。
脂肪腫が多発する場合があります。小さいものが腕などに多発して、時に痛みを感じることもあります。これらは血管脂肪腫と呼ばれています。
写真は血管脂肪腫ですが、このように黄色い脂肪の腫瘍を取り出すことができます。
こちらは粉瘤(アテローム)を取り出しているところです。同じ「脂肪の塊」と思っていた方もおられると思いますが、全く違うものです。
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき) 院長ブログ