院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2015.07.02
瞼の手術でも、後天性眼瞼下垂のように加齢による疾患は通常両側発症するものが多いです。両側眼瞼下垂は両側同時、もしくは少しだけ時期をずらして行うこともありますが、左右のバランスを整えるように手術します。術後手術結果で患者さんが不安に思うことは左右差が一番大きいと言われます。
生まれつきの先天性下垂や、ハードコンタクトレンズを長期に装着している方に起こりやすい腱膜性眼瞼下垂では、片側だけ下垂することが時々見られます。その他、けがによってできる外傷性、また脳内の疾患に伴うものでも起こることがありますので見極めが大切です。
片方のみ手術するときは、もう片方(健側)に合わせるということが、満足度に大きくつながります。
1.自然な眼の空き具合、努力開瞼時、など、まずは黒目の見え方がそろうこと。
2.二重の幅がそろうこと
3.眉毛の高さがそろうこと
これらがなるべく左右そろうようにコントロールします。
上記1に関して、これは腱膜の前転(矯正の具合)を調整したり、固定する位置を黒目に対して何処に留めるかなどを術中にも確認しながら行います。しかし、手術がひとたび始まれば、
・腫れ始めたり、内出血で開瞼抵抗が増える。
・眼輪筋(目を閉じる筋肉)が局所麻酔の影響で弱まり、開瞼抵抗が減る。
・挙筋(目を開ける筋肉)が局所麻酔の影響で弱まり、開瞼抵抗が増える。
上記により、予測が難しくなることもあります。局所麻酔の注入部位や量、愛護的な手術操作かつ、経験で判断せざるを得ません。
上記2に関しては、
・矯正した開瞼力がどれほどか(強く開ければ二重は狭くなる、弱めであれば二重は広くなる)
・二重を形成する高さ(まつ毛から何ミリで切開して二重ラインを形成するか)
・皮膚の切除量(切開した高さから何ミリの幅でたるんでいる皮膚を取るか、もしくは全くとらないか)
・開瞼が楽になると、上記3も関わりますが、おでこで眉毛を挙げて開瞼を助ける(前頭筋開瞼)が弱まり、高く上がっていた眉毛の位置がさがってきます。
これらのバランスで二重ラインの幅がきまります。
経験的にうまく調整するしかありません。
いつもこのパターンが悩ましいです。両側手術を勧めますが、左右差のある眼瞼下垂では、軽度の側は手術の必要がないと思い込んでいらっしゃる方がお見えです。この時、手術側を下垂のない状態にするか、それとも非手術側に合わせて軽度下垂状態でとどめておくか。せっかく手術するのに、下垂の状態で終わらせるのは術者として違和感があります。こういったときは、患者さんによく説明し、
1.非手術側に合わせて少し下垂が残りますが、将来的に再手術の可能性が残されてしまうとお話する。(しっかり矯正しても再発のこともありますし)
2.下垂は生じないようにしっかり矯正しておきますが、非手術側が軽度下垂なので、左右差が出ます。気になるようでしたら、非手術側も将来的に手術を考えましょう。
まぶたの手術は可動部位であり、コスメティックな部位であり、私は他の部位とは違う独特の緊張感があると思っています。