院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2014.11.07
アテローム(粉瘤)という、良性皮膚腫瘍があります。
普段はしこりとして触れたり、大きくなると、見た目にできものとして盛り上がって見えます。
また、アテロームの盛り上がりの中央部には小さな穴があって、そこから粥状物と呼ばれる内容物が出てくることがあります。これは皮膚の代謝産物です。
この腫瘍は被膜と呼ばれる袋があり、その中に粥状物がたまっています。治療は手術のみです。被膜ごと、摘出します。しかし、良性でありますから、経過観察でも、かまいません。
その経過中、問題になることは、時々粥状物が出てくることがあり、とっても臭いです。そして、一番の問題は感染するリスクがあるということです。感染とは、ばい菌が付着し、膿んでしまった状態で、赤く腫れて痛いのが問題です。少し悪化すると、排膿といって、粥状物以外にも膿汁が排出されるようになります。
アテロームの感染は腫れて痛いこと以外にも問題はあります。
これを治療するには、一度感染を鎮静させなければなりません。それには切開排膿が必要です。
局所麻酔をして、中央の小さい穴を含めて、腫れているところを開窓します。膿汁と、粥状物を、掻き出し、洗浄します。切開排膿すると、後々皮膚には傷痕を残すことになります。(感染以前に摘出術でも傷痕は残るのですが)
上記切開排膿をしただけですと、被膜が残存していますので、しばらくすると、再発する可能性が高いです。そこで、なるべく被膜も取り去ろうとするのですが、非感染時と違って、組織は感染により溶けかけ、癒着したりしており、被膜の完全摘出は困難です。ただ、なるべく掻把(引っ掻き出す)して、可及的に被膜を除去します。
アテローム摘出術は、大きさがはっきりするぐらいになったら、感染する前に、摘出するのが良いと思いますが、前項のように、傷痕が残ることも考えて、適応せねばなりません・・・。
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき)
2014.11.01
カテゴリ:美肌(小じわ・毛穴・にきび)
2014.10.21
レーザー治療や光治療、水光注射、イオン導入などなど、美肌に関する治療法は種種あります。
しかし、ホームケアにおけるスキンケアで、その人のベストな肌状態でいないと、施術効果は十分発揮できないと思いますし、施術の副作用も発生しやすいと思います。
また、ホームケアとは直接的なスキンケアのみでなく、食生活、睡眠、ストレスなども重要な要素です。
スキンケア5つの秘訣
中でもビタミンCはお肌に良い成分として、化粧品に含まれ、イオン導入に使用され、内服薬やサプリメントでも摂取することが、美容皮膚科ではルーチンに行われています。当院でもその方向性は重要と思っていますが、美肌のためのビタミンというと、ビタミンC、EやB群は脇役であり、何よりもビタミンAが主役に位置づけられていると考えています。ビタミンCは強力な抗酸化物質で、肌の保護や修復には不可欠なのですが、皮膚に対する直接的な役割があるのはビタミンAです。
この考え方は、肌老化はほとんどが光老化である、つまり紫外線が肌を老化させる、ということから、成り立つ考え方です。しみ、しわが増えてきたというのを年のせいだけにしてはいけません。年のせいより紫外線の影響の方が主です。(もちろん遺伝的な要因などもあります)
① ビタミンAは、パルミチン酸レチノール、レチノール、レチナール、レチノイン酸と、代謝されますが、パルミチン酸レチノールは食物などから摂取され、皮膚に安定して蓄えられます。特に若年者ではこのパルミチン酸レチノールが多く蓄えられており、加齢とともに減少します。パルミチン酸レチノールの作用は、自ら紫外線を吸収し、無くなることで紫外線から皮膚を守る働きをします。子供の皮膚は紫外線に強いということです。
② パルミチン酸レチノールが代謝されたレチノイン酸は、皮膚のターンオーバーを促進する働きがあります。しみを薄くする塗り薬に、トレチノイン誘導療法というのがあります。これは表在性メラニンに対し、レチノイン酸を塗布することによりターンオーバーを促進し、メラニン排泄を促進し薄くしていくものです。
βカロチンなどのビタミンAを積極的に摂取することはお肌に重要なのですが、化粧品で外から補うというものも、いくつかラインナップがあります。保湿やUVケアは基本的なスキンケアですが、ビタミンAを配合し、上記のような作用を狙う機能的スキンケアが、当院の美肌治療におけるベースラインであり、どんな患者さんにも実践いただけ、かつ効果の高いものであると思っています。
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ
2014.10.18
カテゴリ:ヒアルロン酸-しわ
2014.10.14
カテゴリ:輪郭
2014.09.30
カテゴリ:バスト
2014.09.29
カテゴリ:脱毛
2014.09.24
たるみの治療といっても、いろいろありますが、最近の主流は切らないフェイスリフトと呼ばれるものです。機械を顔にあてて、たるみを軽減していく施術です。
ウルセラが代表機種です。写真はウルトラセルです。
超音波のエネルギーを皮膚より深い筋膜に与えます。
苦痛の少ない程度のパワーで行いますが、痛い方が効果的なのだと思います。
実際の感覚は、ピピピピピッと皮膚の奥に衝撃がズンッとくる感じです。頬はその程度良いのですが、下あごの骨の付近は痛みが増してきます。ズンッとくる感じですが、それが骨に響いてい痛くなるような感覚です。
また、下あごの骨の下も痛いです。顎下腺あたりでしょうか、ここに直接強い衝撃が与えれている感覚です。
また、おでこの生え際もビリッと痛みがあります。
痛いといっても、効いてるなーという感じで、耐えられないことはありません。また、耐えがたい痛みならばパワーを落として、リラックス、もしくは会話をしながらでも施術できるようにしています。
サーマクールが代表機種です。高周波エネルギーを皮膚の中の真皮に与えます。HIFUより浅い層ということです。
サーマークールというと、飛び上がるぐらい痛いという方がいます。これは初期のもので、当時は良く全身麻酔(軽く鎮静する)でポワッと300発ぐらいやっていました。現在はサーマクールCPTで比較的楽に施術できます。
写真のウルトラセルではGFRという高周波治療が可能です。痛みの軽減のため、パワーを抑えたショットを瞬時に2回照射する方式で、痛み無く、同じエネルギーを与えられるように工夫されています。
実際はほんのり熱いという感じだけです。しかし、顔の輪郭、特に耳の前あたりになると熱っ!て感じです。
ショートスレッドなどの針系の施術も、輪郭周囲は痛いと言われます。
RFも苦痛がない程度にパワーを考慮して行いますので、恐れることはありません。
2014.09.16
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収納時(折りたたまれています) |
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使用するときの形 |
カテゴリ:麻酔科
2014.09.11
顔のたるみと言っても、さまざまのところに症状が出ます。今回、お話するたるみを引っ張り上げて止めておく糸によるリフトアップ手術は、頬、法令線、フェイスライン、マリオネットラインといった、しわ、たるみを対象にしています。
糸の製品はたいへん沢山ありますが、最近よく使用しているのは、シルエットリフト、スプリングアプトス、ミントリフトといったところですが、挿入部位と挿入方向を考えて引き上げることに違いはありません。しかし、引き上げ効果、効果の持続力は違いがあると思いますので、カウンセリングでよく相談すべきと思います。
方法ですが、頬の中に釣り針のような引っ掛かり(コーンと呼ばれるものや、コグ、棘と呼ばれるものがあります)がいくつも付いた長い糸を挿入し、こめかみの方向に引き上げ、頭髪内の側頭部の筋膜などに固定しておくというものです。
少し切開するものもあれば、ほとんど切らずに挿入できるものもあります。いずれも、局所麻酔で1時間ほどでできてしまう、切らないフェイスリフトといえるものです。
効果ですが、手術直後は気になる頬前面のたるみ、フェイスラインのたるみがとてもよく引きあがっているのがわかります。
1週間もするとなじんで、ちょうど良い感じといわれることが多いです。
問題は、効果の持続力です。人によっては1か月経つと、「もっと引きあがると思っていた」「物足りない」と過少に思う方もおられます。また、1~2年経つと元の状態に戻っている感じ否めないというのが正直なところです。
しかし、皮下に異物を挿入したことにより、そこで異物反応がおこり、コラーゲン造成が活発な状況になっています。その効果があって、引き締まった感じや、頬のハリ感などが、長期に持続するといったケースもよく見られています。
不可逆的なリスクは少ないと思いますが、固定部である側頭部には小さな傷を作っていますので、その傷跡、脱毛はあります。
術後のこめかみの痛みや、皮膚表面のひきつれ、くぼみなどは、時間がたてばほとんど改善するものと思います。
先に述べたように、効果の持続の面で、せっかく思い切って糸を入れたに、早期に後戻りするといったことが問題になります。
効果を持続させるためには、引き上げられた余剰皮膚も一緒に切除したほうがよいとも言われます。また、皮膚切除はしなくても、側頭部の傷から広く皮下を剥離して、引上げにくいこめかみから頬の上部を広範に剥離しておいて、より強く引きあがるように工夫したりします。
つまり、侵襲的な方法を併用して用いるべきリフトなのだという傾向になってきました。
患者さんは低侵襲な治療をもとめて糸によるつり上げを希望しているので、手術の併用はその希望とは違うことになります。
効果の持続は弱いが、糸だけでやりたいと言われたらそれもよいと思いますし、それならやらないというのも良いと思います。
逆にリフト手術を希望されている方は、さらにこの糸のリフトを併用することによって、手術と違うベクトルでの引上げとその補助手術も受け入れてく頂けると思いますし、選択の幅は広がると思います。
また、手術を併用しなくとも、ショートスレッドと呼ばれる糸リフトや、RF(高周波)、HIFU(超音波)といった低侵襲なたるみ治療を併用しておくのも方法です。(まだ、どのぐらいの効果が出るかの検証ははっきりとありません)
こういった施術の特徴を十分お話しして患者さん自身が判断して、決めていくことが大切です。
カテゴリ:スレッドリフト・フェイスリフト たるみ・しわ