院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2016.05.05
大きな病院で形成外科の診療していますと、再建外科という分野の手術があります。体の一部分を、ケガや病気で欠損した部分に移植するものです。移植した肉片(皮弁)は移植先で生かすために、血液を通わせないといけません。そこで、手術用顕微鏡を使って、移植先と移植する皮弁の血管を細い糸で縫ってつなぐという手技です。
たとえば左の写真は、中咽頭がんという、のどの粘膜のがんで、耳鼻科で切除した後に、形成外科で再建をしました。欠損したのどの奥の壁を左腕(手首付近)の皮膚や皮下組織を移植するという方法です。矢印は腕の血管(橈骨動静脈)を首の血管(頸横動静脈、内頚静脈)とを細い糸(髪の毛より細いです)や、特殊なリング状の器具を使用し縫い合わせたところです。血管の直径は2~3mmです。
私はマイクロサージャリーは形成外科専門医を取得するころに特に多く手術する機会を得ました。当時の上司が大変丁寧に指導してくださって、幸い成功率も一般的な成績を出していました。特殊な手技ですし、形成外科の中でも練習が必要な手技ともいわれています。医局には練習用の顕微鏡と練習用の血管モデルがおいてあり、若い先生がいつでも練習できるようにしてあります。
先日ウサギを見て思い出しました。
ある大学の形成外科は実験用動物であるウサギの耳を、一度切断し、再度、接着させる、つまり顕微鏡下で血管吻合をして、つなげるという、トレーニングをするそうです。
ウサギの耳に耳介中央動静脈という、血管が見えます。真ん中縦に走る血管です。確かに、マイクロの練習には良さそうな太さだなあと思って、見ていました。
カテゴリ:マイクロサージャリー
2016.05.04
この眼瞼下垂の手術を過去に受けられた方で、もう一度手術したいというご相談は、たまにあります。
①下垂が矯正できていない。
②左右差がある。これは眼の開け具合の左右差と、二重の幅の左右差があります。
③眼の形がおかしい。特によくあるパターンは、通常、目を開けた時の上まぶたの弧状の線(瞼縁)の形は中央よりやや内側がピークです。しかし、中には中央のみがしっかり上がっていて、内側が全く上がっていない(lateral triangle)というのは良く見かけます。
④矯正が強すぎてギョロメになっている。もしくは閉じにくく乾燥性角膜炎になっている。
⑤吊上げ術などで矯正し、内反(逆さまつ毛)になってしまった。
上記の他にもいろいろな訴えがあります。再治療できること、できないことがありますので瞼の手術に慣れたDrにご相談されるべきです。
上記の修正方法はまたの機会に譲ります。術式の前に、眼瞼挙筋腱膜にアプローチする手技が少し注意深く進めないとなりません。癒着していることがあるからです。初回手術のDrが丁寧にしていたら割ときれいにアプローチできます。それでも瞼板と皮膚はしっかり癒着していますし、挙筋腱膜上にも部分的に癒着していることもあるので、細心の注意で行います。
この写真は初回手術で挙筋腱膜に矯正の糸を通しているところです。組織がキレイに簡単に展開できます。
この写真は修正の症例です。内側に癒着があり、剥離時に一部小さな損傷を余儀なくされたので、糸で縫合して修復しているところです。
2016.03.26
カテゴリ:ピアス
2016.02.22
めがねやサングラスの鼻当て部分の当たる皮膚は、炎症後色素沈着を繰り返し、難治性のシミになること、そこでノーズパッドレスのめがねやサングラスについて、昨年投稿致しましたが、時々お問い合わせがあるので、同製品のHPのリンクを掲載しておきます。
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ
2016.02.13
tatooの消し方ですが、主に、レーザーで色味を薄くしていく方法と、手術でtatooの入った皮膚を切り取ってしまう方法の2通りあります。
・手術痕は残らず、綺麗に消えることもあります。
・あまり反応せず、何度も治療に通う必要もほとんどのケースであります。
・そしてついにはあまり消えずに終わってしまうこともあります。
・またレーザーで消したということが分かるぐらいの痕は残ります。つまり、竜を消したのか、観音様を消したのか、彼女の名前を消したのか、痕をたどるとわかってしまうということです。ただ、素人がちょっと入れたような浅い色素は綺麗に消えてしまうことも無いとは言えません。
・レーザーが反応するのは青みと赤みのみで、その他の色はあまり反応させることができず、残存してしまいます。
・切り取ってしまえばtatooは跡形も残りません。
・一回で切り取ればその部位は治療終了です。
・どんな入れ墨やtatooにも対応できます。
・手術の痕が残ることです。皮膚を切り取って縫い縮めることができれば縫った傷痕が残ります。もし、縫い縮められないような広範囲なものですと、皮膚を移植したりするので、その痕が残ります。手術の痕はケガをしたから、またはやけどをしたからなどと、ごまかすこともできます。
・手術はレーザー治療に比べると若干侵襲度が高い治療です。(大がかりということです)ですが、レーザーにしても、手術にしても、大きいものほど不利ということは一緒です。
さて、そこで、どのように治療を勧めたらよいのかという考え方ですが、治療効率を考えると、手術が一番なことが多いと思います。ただし、一回で縫合閉鎖できると良いのですが、寄せられないような広範なものでしたら、皮膚移植が必要になり、やはり先にレーザー治療を試みて効果を見てから考えたいところです。別に小さなtatooでも先にレーザー治療を行ってもよいと思います。ただし、レーザーは基本的には3か月に1回の治療で、数回以上は覚悟した方が良いので、年単位での治療になることもあります。費用面から考えますと、クリニックによってまちまちですから、レーザーだと数回以上かかる、(やっても満足いくまで消えないことも十分にあり得る)ということも考えながら、手術の治療費と比較するしかありません。最後に最新の情報ですが、最近のレーザーでいろいろな色に反応させることができるレーザーも開発されてきています。まだまだ普及していないので、特定の施設でしか、試せないというものです。
2016.01.31
詳細については下記リンク、スタッフブログ内に示させていただきましたので、ご覧下さい。
エンビロンのトリートメント(フェイシャルエステ)の特別価格企画や、記念の粗品のご提供の他、これまで当院に自由診療で通院中の方に、ささやかですが、さらに美への応援を準備させていただいております。
カテゴリ:院長ブログ
2015.12.13
前回の投稿同様、吉川病院形成外科の川添先生の講演を拝聴いたしました。私の考察も含めて少しご紹介させていただきます。
当院もエンビロンスキンケアとドクターズサプリにより肌から、そして内側からも強力な抗酸化物質であるビタミンAを摂取することを強く推奨しております。ビタミンAの外用については以下のページをご参照ください。
従来スキンケアというと、洗顔(清潔)、保湿、UVケアが重要な要素でありました。ここではさらに「抗酸化作用」もスキンケアの重要な要素になっているといえます。当院でも、患者様のスキンケアを見直す際には洗顔の仕方や洗顔料のチェックをします。そしてその方にあった保湿剤(使用感や香り、価格など)をチョイスします。UVケアに関してはSPFの知識や紫外線吸収剤や散乱剤についての知識をお話してチョイスします。そして最も重要なのは光老化を予防するための抗酸化ビタミンの必要性です。今の美容皮膚科はレチノールをはじめとするビタミンAを無くしては成り立たないと思っています。逆に言うと、ビタミンAは唯一、肌質を改善する力を持つ物質ともいえると思います。
エンビロンスキンケアとフォト治療を組み合わせたり、CO2フラクショナル治療を行っています。機械による美肌治療を単独で行うより、エンビロンスキンケア・サプリによるビタミンAを作用させながらの治療は以下のような効果があると私も感じています。
1治療効果がupする(これは全例に言えると確信しています)
2機器治療の副作用が低下する(当然、肌状態つまり保水力やバリア機能の保持された良い状態はトラブルが少ない)
3機器治療のダメージからの回復力up(ターンオーバーが促進しており治りが早い、フォト自体の光障害から守れる)
4老化予防や若返り効果がある(テロメアの短縮を予防し細胞の老化を防ぐ)
5メラニン合成を阻害する(施術後の炎症後色素沈着や肝斑の再発などを防ぐ)
秋冬は紫外線が弱まります。しかし、日が傾き照射されるため、紫外線が室内に入り込みやすく、UVケアは必要なのです。室内に入る紫外線は肌老化や眼の老化(黄斑変性症や白内障などは紫外線の影響が強く出ます)を促進します。そこで黄斑や網膜の代謝に必要なルテインやゼアキサンチンと呼ばれるカロテノイド(ビタミンA)の摂取が推奨されます。川添先生はこれらは季節の野菜でうまく摂取できると述べられました。確かに、カボチャやニンジン、モロヘイヤなどはビタミンAを多く含んでいます。ヒトの営みとうまく関係しています。
「実年齢より若いと感じているヒトは、死亡リスクが40%低くなる」これは実証されているようです。ビタミンAは長い目で見て、今から続けるべきスキンケア・ボディケアであると思います。目指せます!何よりの特効薬、私もそう思います。
カテゴリ:アンチエイジング スキンケア・エステ・コスメ 院長ブログ
2015.12.13
ほくろの除去方法で有用なものとして炭酸ガスレーザーもしくはエルビウムレーザーによる蒸散があります。
本日、レーザーメーカーのルミナス社が主催するセミナーに参加しました。みずぐち形成外科の先生のご講演を聞いて、私も全く同感と感じたことがありましたので、ご紹介させていただこうと思います。
レーザーによるほくろ除去は部位によってはとても目立たなく綺麗に治るもので、お勧めの治療ですが、以下の部位はちょっと注意が必要なのです。
レーザーでほくろを蒸散すると皮膚が陥没します。湿潤療法でそこを治療すると盛り上がって平らに治癒するのですが、この部位は確かに若干の凹みを残すことがある気がします。私の患者さんだけでなく、他院のケースもそう思います。また、この部位はミーシャ型といって盛り上がったほくろが多いのですが、周囲を上手に処理しないと周堤が残存し凹んだように目立つこともあると思います。
手術でも同様ですが、口は顔面の中でも比較的良く動くところです。術後すぐの傷痕に動きによるストレッチが刺激となると、肥厚性瘢痕といって、盛り上がった傷痕になることがあります。数か月から1年ほど若干の盛り上がりや赤みが遷延することを良く経験します。
これもよく経験します。先日も他院で腕の小さいほくろを10か所ほど一度に焼灼した方がみえました。傷痕が気になるとのことで半袖が着づらいといわれました。確かにパッと見、白い点状の瘢痕が目立ち、眼が行ってしまいます。腕はやりすぎず、一つづつ責めた方が良いと思います。実際、目下進行中の患者さんは割とお見えです。また。手背などは色素沈着もかなり長引くので注意が必要です。
そういえば、中年以降の方はあまり気にならないのですが、肌にハリのある若年者女性は、確かにしっかり目に削ったつもりでもポイントで再発するものが多い気がします。再発時はそれほど深く削らずとも取れると聞きました。それも確かにそう思います。初回治療時よりかなり楽にメラニンが落ちます。
水口先生、ご指導ありがとうございました。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ)
2015.10.02
粉瘤の根治的な治療法は完全摘出です。しかし、感染している感染性粉瘤では、根治的な摘出がしづらいので、ひとまず排膿のみ行い、後日感染が治まってから根治的摘出を行うことが多いです。
また、摘出方法には一般的に単純な皮膚切除(紡錘形デザイン)と嚢腫摘出が行われます。紡錘形デザインは粉瘤の最も表皮の浅いところを切除範囲に含めます。長さは直径に合わせます。嚢腫を破らずに完全に取ることができます。この摘出方法は傷痕が線状に残ることになります。距離のある線状の傷痕が気になる部位では好まれませんが、確実性の高い治療方法です。
傷痕を最小限にするために、くりぬき法があります。粉瘤の最も浅く存在する場所を中心に小さな皮膚パンチで皮膚をくり抜き、そこから粉瘤の内容物をまず圧出して無くし、その後嚢腫壁を剥離して摘出する方法です。
傷痕が小さな丸い瘢痕で済みますが、小さな穴から嚢腫壁をはがしていくと良く見えないところや癒着の強いところで破ってしまい取り残すリスクがあります。嚢腫壁が取り残されると再発の危険性が増します。粉瘤の中には嚢腫壁が大変脆弱なものがあり、すぐにズタズタに破れるので心配です。また感染した粉瘤は紡錘形デザインで取ろう思っても感染のためほぼ確実に嚢腫壁がズタズタです。それならばまずくり抜きで排膿し、取れるだけ嚢腫壁を取りだし、取り残した恐れのある部分は書き出すように組織を引き出し綺麗にするしかありません。粘って丹念にこの操作をすると、たとえ感染性粉瘤でも割と再発せずに過ごすことが多いと思っています。
岐阜市薮田南3-7-7 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック おでき、できもの、粉瘤、アテローム、脂肪の塊、くりぬき摘出法に関する投稿 大垣市 羽島市 各務原市 瑞穂市など近隣都市からもご来院いただいております。
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき)
2015.10.01
ほくろは誰にでも一つぐらいはあります。たくさんある人も大勢みえますし、年齢とともに増えてきたり大きくなることもよくあります。そのため整容的にほくろを除去したい、また皮膚癌が心配という人も多くおみえです。
ほくろ除去には主にメスなどで切除する方法と炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーで削って除去する方法があります。いずれの方法でも、除去後傷あとが残ることと、再発の可能性があることを承知しなくてはなりません。
ほくろ除去後の再発は、わかりやすく言うとホクロの細胞(母斑細胞)の中でもメラニンを産生するものが取り残ったと考えられます。実際、肉眼ではホクロの辺縁を綺麗に取れたと思っても、数か月後に縫合部から色が再発したり、十分な深さで除去したと思ってもメラニン産生細胞が脂肪組織近くもしくは脂肪組織に存在し、取り残っていしまっていることも稀にあります。再発についての詳細
極端な話、黒いほくろから十分に距離を取って切除すれば絶対に再発しません。良性疾患ですから。しかし、良性だから無駄に大きく健常部位を切ることは避けたいです。極力ぎりぎりで辺縁を設定します。私は必ずデザインをダーモスコープで確認しています。ダーモスコープは皮膚を10倍に拡大し、十分な光量で真皮の病変まで診断することができるツールです。
肉眼よりも確実に、色素性病変と健常部位の境界を確認することが可能です。写真は切除ラインを赤い線でデザインしました。茶色の色素は線の中に確実に含まれています。
切除は皮下脂肪浅層をつけて切除します。辺縁に取り残しはないことをダーモスコープで再度確認したところの写真です。
傷は最小限に、再発リスクも最小限にするための一工夫をご紹介しました。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック ほくろ 除去 岐阜市 大垣市 各務原市 羽島市 瑞穂市
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ)