院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2014.08.22
漏斗胸という疾患は、形成外科診療の中でも時々遭遇する体幹部先天異常です。
幼児期には胸の中央(みぞおちのあたり)が漏斗状にへこんでいることに気づきます。
成長とともに凹みが右側に偏移してくることもあります。(左右非対称漏斗胸)
肺活量が標準より少ないとか、心電図で異常がみられることもありますが、整容面以外は無症状のことが多いです。
原因は肋軟骨の形成異常です。
治療は、手術以外の方法と、手術による治療があります。手術以外の治療は、ごく軽度の時や、手術を受けたくない方に適応されますが、なかなか大変です。へこんだ胸に特殊な器具を付けて、皮膚ごと肋軟骨部を密閉吸引する治療です。バキュームベルとか、いくつか商品が出ております。
●ラヴィッチ法
今回は手術についてのお話です。以前よりへこんだ胸を切って開けて、肋軟骨を形成して凹みを治すというラヴィッチ法と呼ばれる手術があります。長時間の手術で体に負担があることと、きずあとがガッツリ残る(それほど目立たなくはなってくるのですが、胸の中央部に肋軟骨に沿って山型の瘢痕がわかります)のが、大きな問題点でした。
●ナスの手術
この10年ぐらいでナス法という手術が普及しました。胸の脇に小さなきずを開けて、そこから心臓の前(へこんでいる肋軟骨・胸骨の下)にステンレス製もしくはチタン製の鉄筋のようなプレートを挿入して矯正した状態を保つようにします。もちろん全身麻酔です。また、子供の手術であり、成人(思春期以降)の適応については議論があります。
この手術を始めたのは9年前ですが、わずか1時間程度で終わり、きずあとも小さく、きれいな胸郭形態になるので、大変感動したのを覚えています。それ以来、全国でナス法手術が好きな先生の集まる研究会に参加したり、著名な先生の手術を見学したりして、毎年夏休みになると、何人か患者さんの手術をしていました。(勤務医時代)
さて、素晴らしい手術であるナス法なのですが、実際の現場で難しいなあと感じることも話します。
●矯正のプレートは、2~3年で抜去するため、2回手術が必要です。
その間、胸部にプレートが入ったままです。
皮膚の下に金属があるので、ぶつけたりして切ってしまうと露出や感染の恐れがあります。装具で保護することもしています。
飛行機に乗る時にはセキュリティーチェックで証明書を見せなければなりません。
万が一、心肺停止したら、圧迫式心臓マッサージができません。最寄りの医療機関にわかるよう、証明書は携行してもらうのですが、じゃあ、万が一があったからといって一瞬で抜くことはできません。開胸心マッサージしか、手がありません。
このプレッシャーについて、患者さんはあまり何も言われませんが、心肺蘇生が仕事の我々にしてみるととっても怖い状況です。
●1回目の手術、プレート挿入。痛みと運動制限があります。
術後は、矯正プレートでへこんだ胸を持ち上げています。支えにしているのは固い肋骨ですから、ここがとても痛いです。麻酔科と連携して、痛みのコントロールに取り組むこともありますが、1週間程度でだいぶ動けるようになります。どのように痛みのコントロールをするか、術前に主治医としっかり話した方が良いと思います。
運動制限も3か月から半年は注意です。挿入したプレートの周りが固まるのに半年ぐらいかかりますが、それまでにバーがずれたり、移動されてはいけません。特に体をねじるようなマット運動などは長期に制限します。走ったりするのは比較的早くから認めています。
●2回目の手術、プレート抜去。大変なときもあり。
患者さんにしてみると、抜く手術はそれほど痛みもありませんし、回復も早いですからすぐ退院になります。しかし、我々術者は、時々大変な時があります。それは肋骨が成長しているので、プレートが食い込んでいることがあるからです。
感じるのは特に斜めにプレートを入れた時の下側になってる固定具にかぶさるように骨化していることがあります。手動で骨をかじり取ったり、電動ドリルで削ったりして外さないとびくとも動かないので、小さな傷でがんばると、思ったより時間がかかってしまったなんてことになります。
>最近はコンピュータ技術が進んでいます。この手術も力学的にどの位置にプレートをどれだけ入れるかなど、解析したり、結果を予想したりするようになってきました。左右非対称や、低形成を伴っている場合などはそのデザインが難しいと思います。この手術がますます精密な手術で、安全に行われるよう、期待したいと思います。
カテゴリ:先天異常-体幹部
2014.08.19
埋没法という、切らない二重まぶたの手術があります。しかし、この方法の最大の欠点は、作成した二重のラインはいつかは消失、もしくは浅溝化といって浅くなっていってしまします。
そこで、切開法といって、切る二重手術を選択される方も多くおられます。全切開法は二重の幅も自由度が高く、ほとんど消失はありません。(しかし、じょうきょうによっては浅くなっていく方もみえるようです)逆に言うと、修正も困難になりますから、初回手術で良い結果を出すよう、慎重に行うべき手術とも思っています。
切る、というからにはどんな感じできずあとが残るか、ご質問されることがあります。
そもそも手術できずあとが残らない方法など、ありません。いかに目立ちにくくするかが、形成外科医、美容外科医の得意とするところです。
切開法のきずあとは二重の折り込まれるラインになりますので、眼を開けているときは全くわかりません。しかし、伏目や眼を閉じた時はきずの部分が見えるようになります。
まぶたはその部位の特性上、きずあとはかなりきれいに治り、目立ちにくいといえます。しかし、術後数か月は赤味が残っていて、わかりやすい状態です。半年以上たつと、うっすらと線上の跡がなんとなくわかる程度です。
問題になるのは、眼を閉じた時に、きずあとのラインが窪んだラインになっている時です。これもある程度仕方がないこともございます。普通、二重の人は目を閉じた時、まぶたは全体にフラットですが、眼を開けた時だけ二重のくびれが折り込まれるようになっています。しかし、切開法の術後に、目を閉じても二重になっているような凹みがあると、不自然な印象、手術で作った印象になりかねません。
また、二重のラインよりもまつ毛よりの皮膚が、薄く、固く、しなやかな皮膚の印象がなくなってしまうことがあります。これも、手術でいじったという印象を与えかねません。
きずあと自体は消すことはできませんが、眼を閉じた時には窪んでいないようにする、そしてまつ毛寄りの皮膚の印象を柔らかいままにするには・・・
手術で糸をひっかける組織を工夫します。
教科書的には二重のラインを癖付ける(癒着させて固定する)のに、瞼板というまぶたの形を支える固い線維性組織に縫いつけることになっています。この方法は、深く、しっかりした、二重のラインが作られます。しかし、瞼板はまぶたの奥の方の組織で、そこに固定すると、やはり窪みが目立ち、まつ毛寄りの皮膚もぴったりと癒着する印象が強いです。
そこで、瞼板に固定するのではなく、眼を開ける筋肉(挙筋)からつながる腱膜に縫い付ける方法があります。この方法だと、眼を閉じた時はきずあとが窪むことはありませんし、まつ毛寄りの皮膚も自然な印象を保ちます。瞼板に固定するよりは少し食い込みは遊びがあり弱いかもしれません。
術者により、どちらの方法が良いか、考え方はいまだ議論されていることですが、こういった専門的で細かいことでも必要ならインフォームドコンセントの項目の一つに入れています。
カテゴリ:重瞼術(二重まぶた)
2014.08.16
二重まぶたで人気の施術、埋没法。
もともと一重まぶたの方は、アイプチ、メザイク、アイテープ、つけまつ毛とアイメークで大きく見せようと工夫されているようです。まつ毛エクステも例外ではありません。
埋没法を行う日に、まつ毛エクステがなされたまま来られる方もお見えです。
「まつエクしていても大丈夫ですか。」
答えは「手術は可能ですが、まつエクは少なからず取れるかもしれません。まつ毛を多少引っ張る操作があるからです。」
埋没法ではまぶたを翻転(裏返し)して針と糸を通します。この、翻転するときに、まつ毛を軽くつまんで持ち上げてひっくりかえします。(よく眼科の診察でも裏向きにされます)
まつ毛をつまむときに、どうしてもエクステを引っ張ってしまいますので、何週間かしているものはボロボロと取れ落ちます。
なるべく取れないように、まつ毛を持ち上げずに、まぶたの縁で持ち上げるように努力しています。しかし、人によってはまぶたの縁にコシがなくて、どうしてもまつ毛で持ち上げざるを得ない場合があり、エクステは取れがちです。
また、もともと短いまつ毛の方がエクステされて、さらにコシの弱いまぶただと、エクステを引っ張るようなことになりかねません。すると、エクステもろとも元のまつ毛も抜けてしまうこともあります。もともとまつ毛が短くて細い方は弱く抜けやすい印象です。
これはエクステの技術もあるのかもしれませんが、太くて長いまつ毛にしっかりエクステがついていると全然取れずに手術可能な時もあります。こういった太くて長いまつ毛の方はまぶたのコシがしっかりしていて、まつ毛に力をかけず、まぶたの縁をつかみやすいこともあります。
なるべく、エクステは残してください、とおっしゃるのでしたら、エクステは埋没法が終わってから行ってほしいと思います。
しかし、どうしてもでしたら、まぶたを翻転するときに、アドラー攝子などのピンセットを使えば、まつ毛に負担をかけることはありません。しかし、愛護的にでも、まぶたをピンセットでつまむことは、麻酔なしでやられたら痛いです。やはり、用手的(道具を使わず)に翻転したほうが、より愛護的なのです。術後の腫れ具合や、眼の異物感の原因になりかねません。
カテゴリ:重瞼術(二重まぶた)
2014.08.12
耳の下、エラと呼ばれる部分が張り出している方は、顔の輪郭が、四角やホームベース型に強調されます。
この、エラの原因は2つあり、一つは下あごの骨(下顎骨)の角が張り出している、骨が原因のものです。この治療には、骨を削るしかありません。エラ削りと呼ばれる手術をいたします。後日詳述します。
もう一つの原因は筋肉が発達して、筋肉が張り出して見えるというものです。この筋肉は咬筋という、咬むために収縮する機能を持つ筋肉です。
ぐっと噛みしめてみてください。耳の下を触ると、固いしこりになって触れる咬筋の収縮がわかります。
骨が張り出しておらず、この咬筋が張り出しているだけのタイプでしたら、このエラ張りは、咬筋ボトックスを施術します。エラボトってやつです。
ちなみに、もし、骨も削らなくてはいけないけど、筋肉も発達しすぎている場合は、エラ削りの手術の時に、咬筋も一緒に一部切除して、ボリュームを減らさせていただきます。
ボトックスは、注射薬で、筋肉の働きを4か月程度麻痺させる作用があります。
注射後、2~3週でエラ張りが少しずつ小さくなっていくのがわかり、2~3か月で効果が完成します。その後、ボトックスの効果が切れますが、元の張り具合に戻るには半年~1年はかかると思います。
ところで、咬む筋肉を麻痺させても大丈夫?と思う方も多いと思います。答えは大丈夫。
咬む筋肉は、咬筋のほかに、側頭筋、内側・外側翼突筋があり、これらが代償します。少しだるさを感じる方もみえますが、すぐに代償されます。
エラボトックスの効果はとっても良く効くと思います。小顔効果もはっきりします。また四角い印象の顔が、楕円から逆三角に近くなり、愛嬌のあるお顔が美人系のお顔立ちになると思います。
これが、若くて肌にもハリのある方には、とっても喜ばれます。
しかし、中年以降の方になってくると、そうでもなくなってきます。
良く効きすぎたのか、みんなから痩せたね~、とか、こけたね~と言われるようになった、という方の割合が若干増えてくるように思います。
確かに、たるみが気になるお年頃になってきますと、特に細い方は、バッカルファットと呼ばれるほっぺのふくらみを保っていた脂肪のかたまりが、下垂していきます。すると、頬骨の境がわかるようになり、ほっぺたがこけた感じになります。
さらにエラボトックスを効かせると、頬から耳の前まで、すっきりしすぎてしまいます。咬筋は頬骨に付着しているのですから、痩せればさらに頬骨との境もはっきりしてしまいます。
こういった経験をされると、施術に少し抵抗があるかもしれませんが、初回と違って、部位と量を考えて2回目の注射をします。
注射部位には注意して、なるべく下の方を中心にと思っています。また、ボトックスの広がりを考えた濃度に調整します。しかし、噛みしめて一番固く盛り上がるところに、結構しっかり量を注入しなければならないので、やはり全体に痩せてしまうのは多少仕方がないのかとも思います。
少し御顔がお痩せの方、でも、エラは髪の毛で隠して輪郭をカムフラージュしている方、こういったこけた印象や痩せすぎた印象が強く出ないように工夫してみますので、いつでもご相談ください。
2014.08.10
形成外科で日常的に治療している先天異常に、臍突出症があります。
おへそが飛び出て一般に”でべそ”と言われます。
おへそはもともと臍帯の付着部位ですから、それが脱落したあと、瘢痕(きずあと)となったのがおへそであります。
この瘢痕が盛り上がっているのみの場合と、この瘢痕の下の壁(腹壁)が弱く、腸が押し出してくるでべそ、臍ヘルニアと、2通りのパターンがあります。
臍ヘルニアのお子様をお持ちのママはちょくちょくお見かけします。私の外来にかかってくれている方は、生後まもなく、小児科からご紹介され、圧迫療法を開始します。しかし、小児科で圧迫療法についてお話は聞いたものの、それっきりっていうパターンも結構多いように見受けられます。
そういうママが、うちの子は2歳ですが、今後どうしたらいいんですか、と質問されます。
臍ヘルニアの場合は生後すぐに圧迫療法といって、コインを貼り付けて圧迫しておくよう、指導して、経過を待つことをします。さすがにコインでは何の工夫もないので、最近は高性能なスポンジと高性能なテープや粘着フィルムを使用します。ヘルニアの大きさによりますが、2歳までにかなり高率に治癒すると言われています。しかし、2歳を過ぎると、自然治癒の可能性が低くなってきます。
ちなみにヘルニアのない臍突出は圧迫しても治りません。
では、2歳を超えたらいつ手術するか。放置してもほぼ問題ないので、見た目が気にならなければそのままにしても良いと思います。嵌頓ヘルニアといって、腸が押し出されたまま引っかかってしまうとまずいのですが、この頻度は少ないとされています。
★2歳までは圧迫や経過観察で待ちます。
★2歳を過ぎたら臍形成術の手術をします。
★しかし、整容的観点から手術を決めればよいと思います。
この判断が難しいときがあります。
たとえば、就園するとプールなどで他のお子様の目に触れるのが心配っていうのも理由です。
しかし、2歳の手術は全身麻酔です。そこまで今やるべきか、と思う方もいます。高学年以上になると、局所麻酔でも可能な手術です。
また、症状が軽い場合(臍としては、軽くは窪んでいるが、腹壁が弱く、ヘルニアとして軽度膨隆あり)など、迷います。
主治医との相談です。
ちなみに作る臍の形ですが、形成外科医は結構みんなこだわって作ってるんではないでしょうか。
(以下、形の分類名は雑誌形成外科56巻:11~17,2013を参考にしています。)
やはりどうせ作るなら縦べそですか。アーモンド型です。縦べそを作る方法も数多く発表されています。
縦長で上向きの臍は一番人気があります。たしかに、へそピアスの施術をやっていると、アーモンド型の方は、割と自慢げにおへそを出して見せてくれるのですが、わずかな臍突出が残っている方や、オーバル型と言って正面を向いている楕円のタイプはそれを隠したくてへそピアスを開けたいと言って来院される方が多いです。
アーモンド型は大人に多いタイプですが、思春期前ぐらいはオーバル型が多いのではないでしょうか。
さらに幼少になると、シャネル型(シャネルのマークに似ているので)と言って臍の上縁と下縁に土手があるタイプや、ベル型といって、土手が下縁のみで上向きの若干横長?の臍が幼児には多いのではないでしょうか。
私は2歳の手術ではわりとベル型を作ってきました。やはり、周りのお子様の形に合わせてということと、手術方法が浸透している方法であること、簡便で上手くいくと作った臍に見えません。またこの方法は(鬼塚法など)臍の周りの皮膚は一切傷つけません。
しかし、臍の周りに傷痕が残る方法でも、縦型にこだわる先生もみえます。
これも主治医と相談ですね。ただ、その先生の一番慣れた方法になることが多いのかと思います。
カテゴリ:先天異常-体幹部
2014.08.10
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ
2014.08.07
❙ほくろの取り方。
ほくろは母斑細胞母斑といいまして、あざの一種のような位置づけですが、皮膚科学的には良性皮膚腫瘍とされ、保険診療の場合、手術で皮膚腫瘍摘出術として治療がなされます。治療法や治療機器、治療動機によって保険診療が適応できないこともあります。
治療法は上記の手術により取り去って、傷を縫って閉じる以外に、炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザー、高周波メスなどで焼灼して、蒸散させて取る方法もあります。蒸散させるとその部位は傷になりますが、軟膏などを塗り、傷を解放した状態(オープン)で治していきます。
❙ほくろを取ると、あとは残るか。
患者さんの中には、美容皮膚科や美容形成外科へ行けば、ほくろを跡形なく取り去ることができると思っている方が見えます。
それはかなり厳しいと思います。私はほくろを取る場合は、多少でも、きずあとが残るとお話しています。しかし、なるべく目立たないようにするために努力する約束はいたします。
ほくろの種類にもよりますが、ほくろのメラニン色素は皮膚の深いところ(真皮)に存在することが多いです。この、真皮に傷をつけることは、しかも深ければ深いほど、きずあとがはっきりと残ります。
なかにはミーシャ型といって、盛り上がったほくろですが、黒い色素は表面のみにあるということがあります。こういった場合は、ほくろの細胞は残ってしましますが、蒸散を最小限にする(表面の黒いところだけ削る)と、比較的きずあとが残らず、黒色の再発がない状態にできます。
逆に真皮のとても深くに、場合によってはその下の脂肪組織内まで、メラニンが落ち込んでいる母斑細胞母斑に遭遇することもあります。この場合は蒸散してもきずあとがしっかり残ります。取りきらないと、色が表面に再発してくる結果となります。
また、どんな種類のほくろであれ、手術で切り取るとなると、手術のきずあとが残ります。
❙あとを目立たなくするには
部位と大きさ、予想される深さによって、ほくろの取る治療法を変えるのが良いと思います。
腕や胸、腹、背中などで大きくて深いものは、蒸散させてオープンで治療するときずがしっかり目立ってしまい、中にはケロイド状(正確には肥厚性瘢痕といいます)になることがあります。
切除手術を行って、ていねいに縫合し、術後もきずあとにテーピングを行ったりしてフォローすることが大切です。
顔面ではおでこや頬は切除でもよい結果のことがあります。しかし、鼻、目の近くで縫合すると引っ張られてパーツがゆがんでしまう場所は蒸散してオープンにする方が良いことがあります。
また、まぶたや鼻はオープンでも傷は綺麗に治りやすいことがわかっています。
しかし、そういった部位でもあまりに大きいと、オープンでは抵抗がありますので、こういった時は手術でくりぬいて、縫合糸を巾着の口を締めるように縫って、キズを小さい状態にして半オープンで治します。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ)
2014.08.05
ムダ毛の脱毛は、エステやクリニックで光脱毛、レーザー脱毛という施術を行っています。
脱毛の原理を簡単に言うと、強い光やレーザー光を肌に照射すると、選択的にメラニン色素にその光が吸収され、それが熱エネルギーになって、メラニンを熱破壊します。(光熱溶解論)
毛はシミやホクロと同じようにメラニンの塊ですので、毛に光治療器の光や、レーザーが当たれば熱が発生し、その熱が毛に隣接する毛乳頭や毛隆起にも熱ダメージを与え、毛の発育を停止させるというものです。
一言でいうと、レーザーで毛を焼いて生えないようにするということなのですが、そこで疑問です。
なぜ皮膚表面は焼けないのでしょうか。
皮膚表面が焼けると、やけどです。これは望ましくない、レーザー脱毛の合併症ということになります。
やけどしないように脱毛できるように、次の2点が考えられています。
1)機器による冷却
脱毛レーザーにはいくつか種類がありますが、多くのものが、レーザーを照射するときに何らかの方法で表面を冷却するようにできています。機械の先端が冷たく冷えていて、直接当てて冷やしながら照射するものや、レーザーが放たれる直前に冷却ガスが噴出するものなどです。これにより、毛が焼けた時の熱が皮膚表面に波及しても温度上昇を抑えてやけどを防いでいます。
2)機器の設定
a.波長 レーザー光は波長が決まっております。波長の長さによってメラニンへの光エネルギーの吸収を少なくすることができます。(長めの波長を使用します)すると、皮膚表面でメラニンに吸収されにくく、より深くでメラニンに吸収されることになります。
ちなみに脱毛に使用するレーザーの種類ですが、アレキサンドライト(755nm)ダイオード(810)YAG(1064)です。これ以上短い波長は使用しません。
b.パルス幅 レーザーの光を瞬時に出す際に、光の出ている時間です。ピカって感じですが、実際時間を測るとナノ秒、ミリ秒です。
表皮を焼かずにメラニンとその周囲だけを焼くようにするには表皮、メラニン、毛包の熱の冷めやすさ違いを利用します。
どんな物質でも、冷めやすさは違います。組織にもその違いがあり、熱緩和時間と呼びます。
ロングパルスと呼ばれるパルス幅にすると、冷めにくい毛包は良く焼けますが、冷めやすい表皮は
熱がこもらず焼けにくい状況に持っていくことができます。
実際には3ミリ秒から100ミリ秒ぐらいで設定されていることが多いと思います。
c.熱量 つまりパワーです。パワーをあげると効果は上がりますが、やけどのリスクも増えます。
なかなかリスキーです。
最近は、弱めのパワーを重ねて照射することで目的の熱量を打ち込む、蓄熱式(複数照射式)と呼ばれるレーザーもあります。これにより、日焼けしてメラニンの量が多い状態、もともと色黒でメラニンが多い方でも比較的安全に照射可能ですし、目的の熱量まで照射する仕組みですので産毛や白髪などのメラニンの少ない毛でも効果があります。
このように、レーザーの特性を理解して、その人に合った施術を実践していくように、スタッフ一同努力すべきだと思います。
カテゴリ:脱毛
2014.08.03
二重まぶたを作る埋没法。毎日のアイプチが面倒、友達はみんな広い二重を作っている、まぶたがかぶさって目が小さい、アイメイクが映えるようにしたい、たるみを少しでもなんとかならないか、などなど、動機は様々ですが、皆さん、埋没法って腫れますか?と決まって聞かれます。
その日も、次の日も、ご予定がある、友達には内緒など、社会生活上、あまり眼が腫れていては人から突っ込まれます・・・。
この質問の答えはとしては、「腫れずにはできません。多少なりとも腫れます、極々稀ですが、かなり腫れてしまうこともあります。内出血は少なからず伴うことが多いです。内出血がひどいと、腫れもひどくなります。」
この答えの続きですが、「腫れはや内出血は仕方がないことです。」
そのとおりです。ただ、「腫れや内出血が最小限になるよう努力して行います」と付け加えることにして、有言実行です。
私なりに気を付けていることですが、特殊な方法はしていません。
患者さんは何をされるかわからないと、ちょっと触るだけで、目をぎゅっとしてしまい、力が入ります。そして息をこらえてしまいます。これらの反応は、頭部の血液の還流を妨げますので、内出血がしやすい環境になりますし、むくみも起こしやすいです。リラックスするよう、声をかけています。
Dr.によって、考え方がいろいろあると思いますが、私は片目の麻酔量を計0.1ccで済ませるように意識しています。これで腫れた感じはほとんど出ません。麻酔を効かせたい層に効率よく注入すれば十分足ります。術中の痛みはありません。
まぶたの皮膚の表面にある細血管を刺してしまうと内出血を起こします。麻酔注射時に針を横から刺すよりも、意識して頭側から縦方向に刺した方が、血管の走行とクロスしにくく、損傷しにくいと思います。
このことは多くの教科書に書かれておりますが、まぶたは薄い皮膚の下に眼輪筋という筋肉があります。ここは血流が豊富ですので、この筋肉に麻酔せず、なるべく皮膚の中のみに注入すると内出血が少ないです。
これもDr.によってまちまちですが、私は1mmぐらいは傷をつけ、操作しやすくしています。これ以上大きく切っても腫れてしまいますし、小さすぎて操作しずらいと、また腫れてしまう原因になると思います。しかし、いずれにしそのDr.が慣れた方法で良いのだろうと思います。
出血しているにもかかわらず手術を続けると、気付くと結構真っ青で腫れていたりしますので、すぐに圧迫して少し待ちます。
瞼の裏側にある、結膜と瞼板という組織に糸を通しますが、このときに上瞼板動脈という太い血管とその分枝を損傷してしまわないよう走行を意識して針を運ぶようにしています。
カテゴリ:重瞼術(二重まぶた)
2014.08.01
笑いじわがひどくて、笑うとくしゃくしゃです、という方には目尻のボトックス注射が良いと思います。
ボトックスはボツリヌス菌の産生する毒素を利用して、注射することで筋肉への神経伝達をブロックします。したがって、筋肉が麻痺して、動かなくなるということになります。ただし効果は4か月程度です。
笑いじわのターゲットとなる筋肉は眼輪筋と呼ばれる、目を閉じたり細めたりする筋肉です。この筋肉の目尻付近に注射して、この動きを止めます。表情がなくなるのでは?と心配される方が見えますが、目尻のみであれば、ほとんど違和感はないと思うので、お勧めできる治療です。
しかし、笑いじわを訴えてこられる方の多くが、目尻のみでなく、目尻から広がる下まぶたや頬のしわまで、広範囲のしわを何とかしたいと言われます。
問題は頬に近くなると、笑いじわを作る原因の筋肉が眼輪筋だけではなくなってきます。また、かといってこれら他の筋肉を麻痺させると、表情に変化が出たり、筋が弛緩して表情がたるんで見えてしまう可能性もでてきます。
でも、何とかしたいしわです・・・
マイクロボトックスは筋肉の麻痺作用を狙うのではなく、筋肉には作用しないようにごく表面に細かく少量ずつ注入します。
●表面へ延びる筋繊維に作用させ小じわを緩める
●汗腺・皮脂腺の働きをブロックし肌質を整えたり、ニキビを予防する
●立毛筋を弛緩させ、毛穴を目立たなくする
●真皮コラーゲンの増生を促進して肌のハリをださせる
●注入時の皮膚への針刺しは創傷治癒を引き起こさせ、コラーゲン増生を促進させることになる
このような美肌目的の比較的新しい注入方法です。
マイクロボトックスはメソボトックスやボトックスリフト、シンデレラリフトなどと呼ばれ、注目されています。しかしリフトと呼ばれる施術では顔面下制筋を抑制してリフトアップ効果を狙う意味合いもあります。厳密にはマイクロボトックスとボトックスリフトは分けて考えられる、もしくはマイクロボトックスがボトックスリフトを含むとも考えれると思います。
目尻はボトックスで表情じわを治療し、そこから下の頬、下まぶたはマイクロボトックスで肌のハリ・ツヤ・キメを治療して目立たなくさせる、という作戦をとると、目元のアンチエイジングが実感できると思います。
実際は、下まぶたにマイクロボトックスをしても、眼輪筋に作用してしまうと思います。しかし、目がとじにくいなどの症状が出ない程度に、マイクロボトックスの効果を狙った少量注射で、良い結果が出ると思います。
カテゴリ:ボトックス‐表情しわ 目元