院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2016.11.28
11月27日秋葉原にてあらおクリニック荒尾先生により行われました。
アンチエイジングフードの講演でソムリエ協会シニアワインソムリエエキスパートの青木晃先生のご講演を拝聴いたしました。とても面白かったので、私の備忘録として以下にまとめてみました。
「フレンチパラドックス」と呼ばれるように、以前よりワインと予防医学には強い関係があることが分かっています。フレンチパラドックスとは。フランス料理にはたくさんの乳製品や肉類など、高脂肪な食材が多く含まれ、動脈硬化や虚血性疾患の観点からは決して健康的ではないものでしょう。しかし、フランス人は他のヨーロッパ諸国より、これらの疾患の罹患率が低い傾向にあります。ボルドーの博士がこれを提唱するようになり、要因として、赤ワインであるといわれるようになりました。言うまでもなく、赤ワインに含まれる、ポリフェノールが、体に良いのだということです。
ポリフェノールにはカテキンやタンニン、アントシアニン、イソフラボンなどなどあります。それぞれにアンチエイジング効果があります。レスベラトロールも代表的なポリフェノールです。
・抗がん作用・抗動脈硬化作用
・抗炎症作用
・抗酸化作用
・シミ予防
・UV障害の防止作用など、その恩恵はとても大きく、
・また、長寿遺伝子サーチュイン遺伝子を活性化し、強いアンチエイジング作用をもたらすのもレスベラトロールと言われています。
これこそ、フレンチパラドックスの要因ということになります。
ポリフェノールはぶどうの種子と皮に多く含まれます。赤ワインはブドウのしぼり汁と種子と皮も一緒に発酵させますのでポリフェノール大変多く含むことになります。一方白ワインはしぼり汁のみを発酵させるため、ポリフェノールはほぼ無いぐらい少ないです。
・黒ブドウの代表である、カベルネ・ソーヴィニヨン(フランス・カリフォルニア・南アフリカ・チリ・オーストラリアなど)は皮も厚く、もっとも多くのポリフェノールを含みます。タンニンも多いので渋みも強いのが特徴です。
・他にはタナ(フランス南西)
・ネッビオーロ(イタリア)
・シラー(フランス、オーストラリア)
など、いずれも渋みの強いものでポリフェノールを大変多く含みます。どうせ飲むならこの品種の商品を選んでも良いかと思います。また、10~20年寝かしたものが最も良いと言われています。
赤ワインと違ってポリフェノールの作用はありませんが
・抗菌効果が高い
・カリウムが多く、むくみ予防になる
・カルシウムやマグネシウムを多く含み、骨粗鬆症の予防効果がある
・腸内のpHを下げて大腸がん予防効果がある
・マロラクティック発酵(MLF リンゴ酸→乳酸にしてまろやかにする)するものとしないものがある。赤ワインはほとんど行われます。白ワインでMLFしないシャープなものはリースリング、ソーヴィニオン・ブラン(ロワール)などです。
ワインは糖質の少ない、低カロリーなアルコールです。諸説あるようですが、
・辛口ワイン(100㏄) 0.06~0.2g
・甘口ワイン(100㏄) 4.5g
・シャンパン(100㏄)1.2g
・ビール(350㏄)12g
・日本酒(1合)8g
アルコール発酵の過程で糖質は消費されていきます。しかし、ぶどうジュースはそのまま糖質です。太ります。さて、アルコールですからいくらワインが体に良いといっても、アルコールは毒です。ボトル1/3~1/4程度が適量です。
講演の最後に座長先生からの質問で、ワインに素人が、体に良いワインを注文するなら何と頼めばよいのか?答えは「ボディーがしっかりしていて、タンニンが多いもの」カベルネソーヴィニヨンのことです。
2016.11.26
美容皮膚科におけるムダ毛の医療脱毛についてです。
1)効果が良い これは回数が少なくて済むということが一つ。ひげ脱毛、Iラインの脱毛などは、回数を重ねてもなかなか効果が出しにくい部位です。これらがきちんと処理できるかどうか。
2)痛みが少ない 施術の技術や機械の種類によっても変わります。また、機械の種類は、光・ダイオードレーザー・アレキサンドライトレーザー・YAGレーザーなど、波長の問題と、シングルパス(単発打ち)か、マルチパス(重ねうち、いわゆる蓄熱式脱毛と呼ばれます)かによっても変わります。
3)副作用が少ない 主な副作用・・・やけど、色素沈着、硬毛化、白髪化 です。これも機械の種類、体質、肌状態によって左右されます。
4)安価である
さて、ここからは施術者側が医療脱毛機に求めることも含まれています。
5)施術しやすくて一回の施術が速い これは施術者の技術もそうですが、何より、機械のスピードによります。
6)機械の業者さんの対応がよい 万一の故障時など、すぐに対応できなければなりません。
7)機械や消耗品、保守管理費用が抑えられている これは患者さんに対する料金に反映されてしまいますから、重要なことです。
写真は当院の医療脱毛スタッフ研修です。ルミナス社製のライトシェアという、ダイオードレーザー(シングルパス)です。とても良い器械で全国的に人気があります。良く抜けます。
スタイリッシュでかっこいい。スタッフ同士で照射トレーニングです。
「お~、良く焦げている!」
自分の足でもトレーニングしておきました!皮膚を吸引して照射するタイプです。他社に無い素晴らしい技術です。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック 医療脱毛 レーザー脱毛 に関する投稿
カテゴリ:脱毛
2016.11.14
お待たせいたしました。当院でも待望の「ラシャスリップス」導入いたしました。
リップグロスですが、有効成分が粘膜の修復や、アンチエイジングに役立ちます。また塗るだけで数分後にはふっくら唇になっていきます。これはメントールとカプサイシンが配合されていて、唇の粘膜が刺激され、血管が拡張し、血流がup。この刺激は癖になります。
常時6色は在庫を置いてあります。全12色です。希望の色があればすぐに取り寄せ可能です。
1本あたり¥7500(税別)です。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック ラシャスリップス マキシマイザー
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ
2016.11.05
前回のブログでAGA新薬ザガーロのCMをご紹介いたしました。
10年程前からあるプロペシアも、爆笑問題が何年にもわたりCMしていました。
薄毛・抜け毛の悩みのある男性にはこのMSDのCMも前回のブログで紹介したグラクソのCMも、インパクトがあって強い啓蒙効果を得ていると思います。
カテゴリ:AGA(男性型脱毛症)・女性の薄毛 院長ブログ
2016.10.31
AGA内服薬は今年からザガーロという新薬が登場し、これまでのプロペシアの市場を覆す勢いのようです。
ザガーロの発売元グラクソスミスクラインはタレントの剛力彩芽をTVCMに起用しますます市場を拡大する勢いです。
当院でもプロペシアからザガーロに移行する患者さんがとても多いです。
ザガーロ30日分9000円です。プロペシアの価格とほぼ変わりませんし、副作用は少なく効果は高と言われています。
当院ではプロペシアのジェネリック医薬品「フィナステリド」もご用意してあります。
プロペシア、フィナステリド、ザガーロの3剤からご自身に合うものを選んでいただけるようにカウンセリング致します。
岐阜市形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック AGA(男性型脱毛症) 内服薬(飲み薬) ザガーロ フィナステイリド プロペシア デュタステリド に関する投稿
カテゴリ:AGA(男性型脱毛症)・女性の薄毛
2016.10.18
この写真は右の脇にできた粉瘤に細菌が感染して、腫れてしまった患者さんです。
感染性粉瘤といいま す。感染性粉瘤の治療法にはいくつか選択支がございます。
それぞれの方針について説明します。
膿を出すためには、針で刺すだけでは出し切れません。数日は自然に出続けるような穴を切開しておかなければなりません。しかし、わずかな麻酔注射で簡単に施行できる処置です。傷痕は残ります。袋をとりませんので、必ずしこりが再発します。今度は感染する前に摘出しなければならなく、再度手術を要します。
1に加え、排膿した穴から粉瘤の被膜を引きずり出す、あるいは切り出す、あるいは掻き出して取り除く努力をする方法です。しっかりと内部まで操作するので、麻酔注射も炎症が強くある中に打ち込み痛みが強いように感じます。この方法では粉瘤の摘出をするので再発率はかなり下がります。
注射や切ったりするのが嫌でしょうがない方は、抗生物質の内服だけで様子を見ます。うまく治っていくなら数日後から痛みや赤みが改善してくると思います。しかし、この方法も根治はさせていないので、いったん良くなってもしこりは残存し、またいつ感染性粉瘤となるか不安です。しかも膿がたまってしまった状態では、内服のみで寛解する保証もなく、1週間内服しても症状の変化がない、もしくは悪化する可能性もあります。
直径4㎜の穴から感染性粉瘤の組織を摘出しました。この穴の傷は縫合せずに開放しておけば1週間で治癒します。
余談ですが、その時、中から塒(とぐろ)を巻いた毛が出てきました。専門的な話ですが、毛包上皮も表皮とともに皮内に迷入し、狭い部位で毛が成長したのでしょう。結構長そうですが。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック しこり おでき できもの 粉瘤 アテローム 脂肪の塊 感染 手術 に関する投稿
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき)
2016.10.10
全切開式重瞼術や眼瞼下垂手術では、予定した高さに二重まぶたの折れ込みを作りこんで傷を閉じます。(重瞼線の作成)この予定した高さというのは縫い合わせた傷自体の高さです。この高さより上に折れ込みが入ってしまうのを予定外重瞼線といい、予定した線でしっかりと二重の折れ込みがはいらなくなってしまいます。
予定外重瞼線は手術直後から一週間目までに気づきます。自然に改善することもあるのですが、改善しないと再手術を要しますので、怪しい患者さんにはその時点で袋とじと呼ばれる方法、もしくはつり上げを行って予防します。
袋とじは簡便で効果的なので、よく行われる手法です。
ヴェリテクリニックの室先生のブログにわかりやすいシェーマが載っておりました。この記事を見た直後に当院でも眼瞼下垂手術をしたので、紹介しました。
袋とじのデザインです。紫ラインの3か所に睫毛側と眉毛側の皮膚どうしを縫合して、傷を塞ぐ形にします。
このケースでは予定外重瞼線ができそうな中央部から内側にかけてのみ袋とじしましたが、全体に掛けておくことが多いです。少し目が閉じにくくなります。
カテゴリ:眼瞼下垂 重瞼術(二重まぶた)
2016.09.27
顔の“ほくろ”は印象を決めます。除去すると若く見え、肌がきれいに見えることも。皮膚がんとの区別は専門医に相談。日常よく遭遇する“ほくろ”について解説致します。
医学的には母斑細胞母斑もしくは色素性母斑という病名です。黒いメラニン色素を産生するメラノサイト系細胞である母斑細胞の増殖したものです。比較的小さなもが俗に“ほくろ”と呼ばれています。診療の健康保険適応に関しては各医療機関に問い合わせてください。状況(症状や希望の治療方法など)により判断する場合が多いようです。
“ほくろ”は年々増えていったり、盛り上がってきたり、色が抜けてきたりと変化をします。しかし月単位での急な変化は皮膚がんの可能性もあります。特に高齢者の顔面や手背など日光露出部にできやすい皮膚がんは多く遭遇します。また以前からある足の裏の“ほくろ”がすぐに皮膚がんになることは少ないですが、最近気づいたものであれば受診されるのが安心です。
医学的に、取ってはいけない、という“ほくろ”はありません。整容的観点から除去の適応との考えもありますし、皮膚がんとの鑑別の観点から切除検査する考えもあります。
除去方法には大きく2つの方法があります。摘出手術とレーザーによる焼灼術です。いずれも局所麻酔薬を患部に注射して処置を行います。麻酔時は若干の痛みを伴いますが、手術中や術後はほとんど痛くありません。
1)摘出手術 メスなどを使って母斑細胞を周囲から完全に切り取る方法です。
a)単純縫合 紡錘形に切開して、線状に縫合閉鎖します。
b)巾着縫合 “ほくろ”の形に合わせてくり抜き、傷口の内側に縫合糸を通して、巾着袋の紐を絞めこむように閉鎖します。(くり抜き径が小さいものであれば、縫合せずに自然閉鎖させることもあります。)
鼻の下にあるほくろです。くり抜いて巾着袋の紐を占めるように傷を閉じます。(次の写真)
約1週間後に抜糸を行い、その後約3か月、テーピングを行います。
2)焼灼除去術 炭酸ガスレーザーや高周波メスなどを使用して、母斑細胞を上から削り取る方法です。削った部位は開放された傷の状態ですが、湿潤療法で自然に皮膚が修復されるのを待ちます。
大きさ、部位、患者様の希望などを考慮して上記方法を使い分けて治療します。
術後は翌日より創部もシャワー浴で洗浄可能です。創部を含めた入浴やプールは1週間後の抜糸等処置後から可能です。消毒は不要です。創部は創傷被覆材を使用して保護し、ご自身で交換しておいていただきます。被覆材の上からメイクが可能です。どの方法で治療しても術後3か月程度、強い赤みと黒ずみ(炎症後色素沈着)が出現します。6か月から12か月かけながら徐々に目立たなく馴染んでいきます。炎症後色素沈着がある期間は特に紫外線対策や保湿を心掛けていただきます。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ) 院長ブログ
2016.09.26
身近な外傷・・・「やけど」。日焼け、熱湯、油跳ね、ストーブ、ヘアアイロン、湯たんぽなどなど・・・寒くなる季節、周囲にはやけどの危険が。家庭で起こるやけどについての疑問にお答えします。
A.やけどをしたら、第一に患部を冷却することです。最初の冷却が不十分ですと、軽く済むはずのやけどが深くなり、治りが悪く痕が残ってしまう可能性もありますから、大変重要なステップです。病院を探したり、救急車を呼んだりするよりも、水道に直行して、衣服の上からでも流水で冷却します。水道水がない場合や、病院へ移動を開始する場合、流水では冷却しにくい部位の場合などは、保冷剤をハンカチなどでくるんだものを使用してください。冷たくて痛くなるほど低い温度で冷やす必要はありません。また冷却時間は15分から30分を目安にしてください。乳幼児の場合は体温が下がって寒くならないように注意してください。発熱時に使う冷却ジェルやスプレーなどは使用しないでください。
A.日本熱傷学会には、形成外科医、救急医、皮膚科医などが所属しています。私も含め形成外科専門医の場合は、重傷熱傷患者の管理や皮膚の再建、熱傷瘢痕拘縮(やけどが治った後の痕やひきつれ)の手術やリハビリなど、トータルで診療経験があります。熱傷診療に少しでも精通している医師をあたるのが最良です。また、形成外科は創傷(皮膚の損傷)を特に専門的に診療する科です。次号に後述する湿潤療法や治癒後のアフターケアも含めて日常的に診療しています。
やけどの面積が、患者さんの手のひらで10枚分以上あれば、総合病院での入院管理が必要なこともあります。
A.損傷が皮膚のどの深さに達しているかによって決まります。深さは4段階で示され、浅い順に、少し赤くなる程度ならⅠ度、ひりひりと痛みのある水ぶくれができるものは浅達性Ⅱ度、痛みの少ない水ぶくれなら深達性Ⅱ度、焦げたり黄色く固い皮膚に変性してしまったものはⅢ度と表現します。Ⅰ度と浅達性Ⅱ度は「浅いやけど」で、皮膚が再生し、痕が残りません。深達性Ⅱ度やⅢ度は「深いやけど」で皮膚が再生せず、何らかの痕を残して治癒します。この深いやけどでは、皮膚移植が必要なことがありますが、移植してもその手術痕は必ず残ってしまいます。また、浅いやけどは2週間以内に治りますが、深いやけどはそれ以上かけないと治りません。つまり、2週間以内に治ったやけどは痕が残らないということになります。
次の写真はⅠ度と浅達性Ⅱ度の混在です。
次の写真は浅達性Ⅱ度です。右は治癒後です。一見ひどいことになっていますが、浅いやけどですので、痕は残らないです。
次の写真は一部が深達性Ⅱ度です。右の写真は治癒後ですが、痕が残っているのがわかります。
次の写真は2枚ともⅢ度熱傷です。
最初の冷却が不十分だと、2~3日かけてやけどが深くなることがあります。最初は赤いだけだから放っておいたところ、次の日には水ぶくれができてしまったというパターンです。また経過中に細菌に感染したり、誤った処置方法を行ってしまってもやけどが深くなることがあります。浅達性Ⅱ度熱傷に下手な民間療法を行ったがために深達性Ⅱ度となり、ひきつれを残してしまうパターンです。したがってしっかり冷却することと、正しい湿潤療法を行ってくれる医療機関を選定することが、痕やひきつれが残るか残らないかの分かれ道ということになります。
A.水ぶくれの皮をめくって取ってしまっては傷が露出し痛みを強く感じます。しかし、パンパンに膨らんだ水ぶくれをそのままにしておくことも内圧が高く痛みを感じます。当院では水ぶくれを切開し、中の液体(浸出液)を抜いて、再度溜まらないようにしておきます。もし家庭で水ぶくれが破れても無理に皮を取らないでください。1~2週間ほど経過したら水ぶくれの皮を除去します。あまりに長く残しておくと内部で細菌感染を起こす危険があるからです。
次の写真は浅達性Ⅱ度熱傷ですが、水ぶくれの膜を天然の被覆材として、そのまま治療しました。右が治癒後です。
A.受傷当日は、ハンカチなどでくるんだ保冷剤などで軽く冷却を続けてください。Ⅰ度のやけどは皮膚が赤くなる程度ですから、炎症を抑える塗り薬などを一日に何回か塗布してください。Ⅱ度以上では、傷の状態になって、ジクジクと浸出液が出ている状態です。以下の2原則で処置することが肝心です。
消毒液をつけても細菌感染を予防する医学的根拠はありません。むしろ正常な細胞を障害し、やけどの治癒を遅延させる恐れがあります。家庭用シャワーでしっかり洗い流すことの方が傷を清潔に保ち細菌感染を予防します。石鹸がついても構いません。
傷から染み出る浸出液は自己再生を促す成長因子がたくさん含まれています。処置せず放置したり、綿のガーゼを当てて浸出液を吸わせすぎると、乾いてかさぶたが付着し成長因子が機能せず、逆に治りが悪くなるのです。浸出液の量に合わせて非固着性ガーゼと軟膏を使用したり、ハイドロコロイドと呼ばれる創傷被覆材を使用し成長因子とどめるようにします。(湿潤療法)水ぶくれの皮を取らないのは、天然の被覆材といえるからです。食品用ラップを使用したり薬局で購入した被覆材を使用したりする方もおられますが、誤った自己処置は悪化を招くので注意です。
毎日シャワーで洗浄してその後湿潤療法の処置をする、この繰り返しで治るの待つということです。
次の写真はハイドロコロイドできれいに治癒したⅡ度熱傷です。少し深そうで心配しましたが、右の写真のように適切な治療で何とか痕が残らずに治りました。
A.半年から1年は、風呂上りは保湿を、朝は保湿と紫外線対策をすることを習慣にしていただきます。やけどが治った後、約2~3週後から炎症後色素沈着と呼ばれる暗赤色~茶褐色のメラニン増生が生じます。3か月から6か月程度で自然に改善することが多いですが、この間に紫外線を浴びると炎症後色素沈着が助長され、いつまでも黒ずんているということになってしまいます。
特に痕が残った場合では、乾燥が強くなります。そのため痒みが出て掻いてしまったり、バリア機能が低下し皮膚炎を起こす恐れがあります。これもまた炎症後色素沈着を助長するため、保湿ケアが必要なのです。
痕がひどく残ってしまった場合は上記以外にも圧迫療法や内服治療など、定期的な診療が必要となります。形成外科専門医と相談していただくことをお勧め致します。
2016.09.22
指の怪我で多いのですが、写真のように、絆創膏を貼ったまま、水仕事などされると皮膚がふやけます。これを浸軟とよびます。この状態では傷の治りが悪くなります。
湿潤療法は傷を乾かないように、創傷被覆材で覆う治療なのですが、ただの絆創膏では過度に湿潤して浸軟してしまうか、逆に軽い傷の時は浸出液を吸い上げすぎてカピカピのカサブタ状態になってしまいます。これもまた傷の治癒を遅延させる原因です。
当院では傷の状態に合わせて、適切な創傷被覆材をご提案しています。次の写真は治癒した時ですが、皮膚の状態はこのように浸軟していない方がよいのです。