院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2017.11.16
このレーザーで治療可能な保険適応疾患(あざ・母斑・外傷性刺青)についてご紹介します。
あざは生後~小児期に出現する皮膚の病変です。わかりやす分けると赤あざ・青あざ・茶あざ・黒あざというように4つの見た目の色で分けることが多いです。
当院では、治療設備の関係で、赤あざの治療に対応できませんが、それ以外に関しては標準的治療が可能です。また、赤あざに関しても、診断と治療方法の説明、適切な治療施設について、詳しくご説明することが可能ですので、お問い合わせください。
けが・やけどの後に生じる色素沈着についても治療可能です。
アスファルトや鉛筆の芯が皮膚の中に残っているような外傷性刺青の状態も治療可能です。
蒙古斑は生まれつきお尻にある青いあざを指します。皮膚の真皮にメラノサイト(メラニン色素を作る細胞)が増殖した状態のものです。このお尻の蒙古斑は4~10歳で自然に消失していくことがわかっており、治療の対象になりません。しかし、蒙古斑がお尻以外に発生することがあり、これを異所性蒙古斑と呼んでいます。足でも体でもどこでもあり得ます。異所性蒙古斑の中でも以下のようのものは自然消退を望めませんので、治療の対象となります。
・色調が濃い
・広範囲
・境界がはっきりしている
標準的治療方法はQスイッチレーザーと呼ばれる、レーザー治療となります。お子様の場合、小学生になるぐらいになっても消退する傾向がなければ治療を開始します。幼児期より、明らかに自然消退が望めない色調のものですと、すぐに治療を開始することもあります。
Qスイッチレーザー治療は3~6か月おきに、5~10回程度の治療回数が必要です。
片側の顔面にできる青あざです。生後しばらくして少しずつ発症し、思春期ごろに悪化し、社会生活上大きな問題となることがあります。真皮にメラノサイトが散在し、灰色から青色の色素斑ですが、白目の粘膜や、口腔内にもメラニンの増加を確認できることもあります。臨床的に、幼児の小鼻や眉毛の横あたりに青色のあざが小さく出てきて発見されることが多い印象です。
自然に治癒することはありません。過去には手術によって除去し皮膚を移植したり、ドライアイスを押し付けたりと、つらい治療が行われておりましたが、90年ごろからレーザー治療が普及してきました。Qスイッチレーザーが現在の標準的治療方法です。3~6か月おきに、10回程度の治療回数が必要です。
治療開始年齢は、早い方が効果も高く少ない回数で済み、色素脱失や色素沈着などの合併症の率も少なくて済むといわれています。
境界のはっきりした茶色のあざです。生まれつきあるものや、乳幼児期に出現するもの、思春期ごろに出現するベッカー母斑と呼ばれるものなどありますが、見た目に茶色いので診断は簡単です。
治療はQスイッチレーザーが標準的治療なのですが、青あざに比べると有効率が劣ります。無効例は約65%です。著効は17%、改善程度は18%です。これは性別年齢には関連はありませんが、顔・首→体→四肢の順に有効率が下がります。またきれいな円形の扁平母斑より地図状の方が効きやすいといわれています。
日本で保険治療が可能なのはQスイッチルビーレーザーという機種です。
レーザー治療が無効なケースでは手術を選択することになります。部位と大きさによって、切除後の皮膚再建方法が変わりますので、個々にカウンセリングが必要です。
いわゆるほくろです。大小さまざまです。
治療方法は手術による切除やくりぬきと、炭酸ガスレーザーによる除去がスタンダードです。自由診療で治療する場合は炭酸ガスレーザーとQスイッチレーザーを組み合わせたり、Qスイッチレーザー単独で治療することもありますが、真皮内に深く母斑細胞が存在するものが多く、やはり炭酸ガスレーザーによる治療が主となり得ます。また、この場合、治療の傷痕が残存してしまうことを理解して治療いただくことになります。
鉛筆の芯が刺さって黒鉛が残存したり、アスファルトで転倒し、砂の色が残存したりすることがあり、これを外傷性刺青と呼びます。皮膚の中に存在しているものはQスイッチレーザーで治療可能です。
Qスイッチレーザーと呼ばれるレーザー光を照射します。レーザーは皮膚に存在するメラニン色素に対して吸収されます。吸収されると光エネルギーが熱エネルギーとなり組織を壊します。壊されたメラニンは脱落したり吸収されてなくなっていきます。広範囲に施術する場合はあらかじめ表面麻酔クリームなどを使用して痛みを軽減させます。現在の色素性病変の治療で最も有効な治療法の一つです。
保険適応:異所性蒙古斑・太田母斑・扁平母斑・外傷性色素沈着(外傷性刺青)
保険適応外:シミ(老人性色素斑・後天性真皮メラノサイトーシス)・入れ墨・タトゥ
術後経過として以下のことが起こりえます。特に炎症後色素沈着と、色素脱失については、ご理解が得られない状態での治療はお受けいたしかねます。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ) 院長ブログ
2017.10.29
神経線維腫症1型 neurofibromatosis type1 これをレクリングハウゼン病von Recklinghausen diseaseと呼んでいます。
症状が進行すると難病に指定されます。DNB分類stageⅢ以上
粉瘤にしてはやわらかく、poreもない。また、大小さまざまで、盛り上がりの大きいものから平坦に近いもの、垂れ下がるぐらい突出したものなどが、全身に多発した皮膚の腫瘍を認めます。これは、神経線維腫の可能性があります。さらに、次の症状があれば診断が確定的です。
扁平母斑と呼ばれる茶色のあざが、大小さまざまに認めます。これは扁平母斑ではなく、カフェオレスポットと呼ばれます。6個以上で本症と診断できます。
3000人に1人の頻度で、常染色体優性遺伝、つまり、必ず遺伝して発現します。しかし半数以上は突然変異といわれます。
・進行する疾患なので、皮膚の神経線維腫がどんどん増えていき、社会生活上、整容的な問題となります。1000個以上できると難病指定を受けることになります。
・脳や脊髄の神経に神経線維腫や、髄膜腫が発症し、中枢神経障害や痙攣などの発症することも考えられます。
・知能障害や学習障害を有していることがある。
・子供に遺伝する。
・神経線維腫の悪性化はままれであるが考えておかねばならない。
根治療法はありません。上記の問題が生じたときに対症療法を行うことになります。
私たち形成外科領域では、目立つ部位の神経線維腫を切除することと、カフェオレ斑をレーザー治療などすること(再発することが多いですが)などです。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ) 皮膚良性腫瘍(おでき)
2017.10.26
当院では、医療アートメイクを行っています。眉・アイライン・リップはコスメティックに、また、乳輪乳頭再建、傷痕カムフラージュ、化学療法後の眉毛・ヘアラインの再建などにも応用しています。
アートメイクという技術は、医療行為と法的に認められており、現在、医療機関で医師の責任のもとでしか施術できません。
・レーザーで消去できること。・MRI撮影時に問題とならないこと。・酸化鉄を用いないこと。・アレルギーを発症する可能性を少なくすること。・完全オーガニックであること。と、教わりましたが、今回の勉強会では終始これらのポイントについて、深く掘り下げる内容でした。ひとつづつ見てみます。
これらをレーザーで完全に消すことができるのは全症例のわずか1.26%のみです。著効例は多くあります。
色や部位、色素の深さなどによって、レーザー治療を何回程度行うと良いか、事前に予測するツールがあるようです。黒は取ることができます。また赤も取れます。肌色は無効です。後に述べるように黒色化が懸念されます。深いものも当然取れにくいです。深いものを治療すると瘢痕が残ります。逆に深いものは入れる時点で瘢痕となっているため、レーザーが効きにくいです。これらの理由で除去すると瘢痕のみ残ります。これをゴーストイメージと言います。彫った絵柄や名前など、わかってしまいます。重ね塗りも取れにくいです。
レーザー治療により色素が粉砕されます。ピコ秒レーザーはより細かく粉砕可能です。細かく粉砕した方が、マクロファージやリンパ組織での輸送処理がしやすく、消えやすいです。レーザー後はしばらく時間を空けた方が輸送されて薄くなります。
・痛み ・水疱形成 ・痂皮形成 ・点状出血(特にYAG) ・蕁麻疹様反応(色素の変化による) ・色素沈着 ・色素脱失と白毛 ・ゴーストイメージ ・アレルギー反応(局所、全身の光アレルギー反応) ・黒色化(後述しますが茶色肌色白色を発色する鉄とチタンにレーザー照射すると黒くなります。一見黒に見えても、重ね塗りで2重に交じっていたりすると起こりますので注意)
1最小限の量を 2重ねることなく 3黒色化しない色素で 4浅く入れる
MRIが影響するには、静磁場の影響、傾斜磁場の影響、RFパルスの影響の3つが考えられます。静磁場では吸引力によるトラブルが問題となりますが、アートメイクに関しては磁性体の量が微量すぎて問題になることはありません。問題と考えられるのはRFパルスです。誘導電流が発生するため、ループができると発熱します。これは磁性体とは関係ないので、アートメイクのみで起こるトラブルではありません。アートメイクに関して言うならば、ループになっているデザインのタトゥで1度以下の温度上昇があるようです。とういことで理論上も実験場もあまり問題とならないようですが、過去の文献にはやけどの報告はあります・・・
色素は色素原料と水とグリセリンとアルコールでできています。色素原料には水に溶ける染料と水に溶けない顔料がありますが、アートメイクには顔料を使用します。顔料にはオーガニックとインオーガニックがあります。
植物由来すなわち有機物でアゾ化合物です。これは発色が良く、すべての色を表現で、安価です。しかし、レーザー治療すると色が変化することや、アレルギーの原因となりやすいこと、また皮膚内で化学変化し、特定芳香族アミンとなって発癌作用、アレルギー作用があるといわています。そこでインオーガニックの色素を使わざるを得ない現状があります。
無機物でカドミウム、水銀、鉛、コバルトなどもあるのですがこれらは発色は良いが健康被害が多いことで有名です。実際にはカーボンブラック(これも発がんの可能性あり)酸化鉄、二酸化チタンなどを使用します。
黄色や赤を発色する水酸化鉄や酸化第二鉄、酸化チタンなどで肌色として入れた場合、これにレーザー治療を行うと黒色化するという問題です。問題となる事例は古いアートメイクを消すために肌色を重ねて消すケースがあるということです。その部位はレーザー治療を知らずに行ってしまうと黒色化してしまうということに注意しないといけません。レーザーによる消去は問診の上、試しのの小範囲から始めるべきです。
カテゴリ:アートメイク
2017.10.16
「にほんにこだわる」をテーマに、新潟・銀座でクリニックをされている野本先生が会頭の元、銀座で開催されました。
野本先生の開発されたビューティフルスキンミネラルファンデーションは、当院でも大変多くの患者様にご愛用していただいており、また、野本先生は独自にアイウェアの開発や美容和漢学の普及、色彩学を取り入れたスキンケアなど、大変個性・感性豊かに活動されている方で、注目のDrと思っています。
学んだことと私の私感を交えて書き留めます。
Qスイッチルビーレーザーは日本が独自に伸ばしてきた機械。アメリカにルビーレーザーは普及していません。海外はKTP・YAGレーザーを中心にして、最近はアレキサンドライトレーザーが中心になっています。また、CO2レーザーで十分だという考え方もあるとのことです。
当院ですが、Qスイッチレーザーは当院には未導入だったのですが、年末に導入予定です。切れ味の良い日本製のルビーか、世界的メーカーのアレキサンドライトか、当院の患者様に合った機器を選択中です。
韓国・台湾ではIPLよりもレーザートーニング真っ盛りというお話も伺いました。当院ではレーザートーニングを行っていませんが、こちらも導入を検討中です。
美容医療の市場ですが、世界的に1位アメリカ2位ブラジル3位日本4位韓国。特筆すべきことはその中でも手術:非手術(機器治療や注入治療)を見たときに、日本は1:1で世界一非手術に傾いています。2位アメリカ3位韓国4位台湾5位ブラジル。
50歳以上の1%が罹患しているといわれる加齢性黄斑変性症は、萎縮型と浸出型、さらには前駆型があります。浸出型にはレーザー治療など、新生血管を抑える治療が可能です。しかし萎縮型と前駆型は治療法はありません。生活習慣の改善が大切になります。喫煙、肥満、高血圧、動脈硬化、光曝露などを避けることで、酸化ストレス⇔慢性炎症の悪循環を防ぐという考え方です。さらに抗酸化サプリメントが大変重要で、眼科医もサプリメントを勧めることがあるそうです。ビタミンACE・亜鉛・銅で発症率を25%抑制、ルテインとゼアキサンチンというカロテノイドで18%進行を抑制するとのことです。ルテインは黄斑に存在しています。
最近は肝斑は表皮に病変の首座があるというより、真皮機能の状態を改善しようという意見があります。真皮線維芽細胞からSCFやVEGFなど、様々なサイトカインが発せられ、表皮メラノサイトを活性化する機能異常に対して、真皮にロングパルスヤグレーザーで治療することが有効と言われるようになりました。VEGFが関与していることから血管病変と考えると血管病変もターゲットにできるロングパルスヤグレーザーの重要性がわかります。当院ではリフトアップレーザーというロングパルスヤグレーザー治療があります。タイトニング+肝斑治療で取り組んでいただけると良いと思っています。と言っても本当の肝斑はシミで来られる患者様の5%、60%は老人性色素斑です。
肝斑は瘀血(おけつ)桂枝茯苓丸+トランサミンで。
老化は陽から陰(機能の衰え)、実から虚(調節の衰え)
五臓(心・肝・脾・肺・腎)脾は消化器系を表しています。腎は先天的な気、水分内分泌を表します。また、肝は自律神経を表します。五臓は互いに関与します。ストレスは肝を不調に肝の不調は脾虚となり腎虚となります(老化)(ストレスと過食と寿命減)
私には和漢学はちょっと難しいですが、美容医療には未病に対するアプローチの一つとして、大変重要であることは間違いありません。
漢方に関しては私の同期・こやまかわせみクリニック小山賀継先生にお願いします。
2017.07.09
世の中の日焼け止めには、紫外線吸収剤(紫外線を吸収し肌に到達させないもの)と紫外線散乱剤(紫外線を反射させ肌に到達させないもの)という成分の2種類があります。
紫外線吸収剤は化粧品として加工しやすいのが利点です。SPF値も高く作ることが可能で、肌から取れにくいよう界面活性剤との相性も良いです。しかし、有機化合物であり、紫外線を吸収すると肌に刺激のある物質に変化します。つまり肌に良くないということです。
一方、紫外線散乱剤は化粧品にすると白く浮きやすく、加工しにくく、SPF値を高く作ることが難しいのが欠点です。しかし、天然ミネラル(鉱物)でできているので、無機物です。つまり肌にアレルゲンとなったり、刺激になることが非常に少ないため、肌に優しいと言うことです。
日本皮膚科学会では、日常的にSPF15~30、PA+以上のサンスクリーン剤を使用することを勧めています。これは美容のみで無く、日光角化症(SCCの前がん病変)や基底細胞がんの予防のためにも大切なことです。日頃からSPF50の紫外線吸収剤を使用することは、逆に肌に対して刺激となり痛めかねません。
SPF(サンプロテクションファクター)とは、UBVを防ぐ効果を示し、最大50+の製品があります。SPF15とは、たとえばUBVを浴びると10分で赤くなる人が10分×15=150分、つまり塗らないときに比べ15倍赤くなるのを延ばせるということです。日焼けやしみの原因です。
PA(プロテクショングレイドオブUVA)とは、UVAを防ぐ効果を示し、最大PA++++の製品があります。しわなど、真皮コラーゲンへのダメージの原因です。
紫外線散乱剤で構成される化粧品は肌に優しく日常的に使用すべきです。ほとんど外出しないのでしたら、日頃からビタミンAを使用していただいていると紫外線にも強いので使用しなくても良いと思います。しかし、10分でも外を歩くなど、外出があるのでしたら使用すべきと思います。紫外線散乱剤でSPF値も満たすものも多いです。しかし、海やプールなど、レジャーとなると肌なじみがよく、落ちにくい紫外線吸収剤を使用しないと仕方が無いのかなと考えます。SPF50PA++++ということです。
最近は紫外線吸収剤でも、肌に刺激とならない工夫が売りの日焼け止めも市販されているようです。また、紫外線散乱剤でもSPF値が50のものはいくつかございます。
薬局では紫外線吸収剤が使用されていないもは「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」「紫外線吸収剤不使用」と書いてあります。(成分表に載っています。)
エンビロンのラドローションは紫外線吸収剤と散乱剤と両方でできているのですが、肌へ低刺激となる工夫や、他の美容成分、抗酸化成分がたくさん使われており、美容液のように使用可能です。もちろん日常的に使用を推奨しています。レジャーの場合は必ず3時間程度で塗り直しをして使用してほしいです。SPF16ですが、塗り直しをすると焼けません。
ビューティフルスキンのUVミルクですが、こちらは完全に紫外線散乱剤のみでできています。SPF30ですが、こちらも塗り直しをしないと焼けるような印象があるので注意してください。しかし、この製品は化粧水感覚でジャブジャブと使いやすく、軽いです。もちろん肌へ刺激になりにくいです。少し塗り始めは皮膚からはじかれるように見えますが、ゆっくりなじませていただければ大丈夫です。
カテゴリ:スキンケア・エステ・コスメ
2017.05.17
5/14東京国際フォーラムでキャンデラユーザーズミーティングが開催されました。当院ではキャンデラ社製ジェントルシリーズというレーザーで医療脱毛やレーザーフェイシャルを行っています。この会で医療脱毛について、復習したことを備忘録として、私見も含めて述べます。
レーザー機器を使った脱毛は医療機関でしか許可されていません。サロンでの脱毛は「美容ライト脱毛」と称する光脱毛ということになります。医療機関でないので、毛を発生させる毛乳頭・皮脂腺開口部・バルジ(幹細胞)を破壊する行為はできません。とういことは低出力の光を用いて減毛させることになります。クリニックでのレーザー脱毛も、正確には永久脱毛と言えないのかもしれませんが、永久脱毛の定義もはっきりしないので、長期的な減毛というのが正確です。メラニンの少ない産毛や白髪は難しいということですが、クリニックですので、上記の毛を発生させる器官を破壊する行為が可能なのは確かです。
リウマチなどで金製剤を投与されている方、金の糸が体内に留置されている方です。ニキビや湿疹については、やはり良くなることが多いので演者の先生と同様、当院でも積極的にお勧めしています。
毛嚢炎や紅斑は割と起こります。マイルドステロイド(ロコイド)+抗菌薬(アクアチム)などの外用で対処します。熱傷、色素沈着は時々経験します。テクニカルな問題では三日月型の色素沈着の場合、冷却不十分(これは照射角度や機械の不具合)が考えられます。過冷却による色素沈着も肌質により経験することですが、長引く傾向にあります。硬毛化については以下に述べます。
20~30歳代
色白
産毛が多く、毛の量も多い
毛穴が開き気味
好発部位(うなじ、肘上、背中、腰など)は数パーセントで起こりえます。逆に下肢ではどの先生も硬毛化の経験がないというのが不思議であり、このメカニズムの解明が待たれるところです。
硬毛化に対する照射プロトコールも出てまいりました。アレキサンドライトの連続照射法やYAGに切り替えることです。当院はロングパルスYAGレーザーも備えており、硬毛化の際には使用することがあります。
・基本に忠実。皮膚科学会は新薬が出ると治療ガイドラインをこまめに改定していますので、当院もこれにのっとって結果出しています。
・治療のゴールはニキビ跡の予防 ということはいかに新しいにきびを作らず、できたときに軽く済ませるかです。・赤ニキビを早く治す。・そしてmini-scar(0.5㎜~2㎜の小さいニキビ跡)を無くす。炎症性ざ瘡の8.2%がなってしまうとのことです。
・きれいにニキビ跡を治すためにも、自由診療は必要です。ピーリングやレーザー(ダイオードなど)です。
・抗生剤単独使用は避ける。 BPO併用など、必要です。
UVBにより、ケラチノサイトや線維芽細胞からET-1、エンドセリン、SCFなどのサイトカインがメラノサイトを活性化するメカニズムの話がありました。また、最近老人性色素斑においては表皮の処理では再発する例に対し、これは真皮の線維芽細胞からのサイトカインシグナルが原因との話はよく出てきます。
カテゴリ:美肌(小じわ・毛穴・にきび) 脱毛
2017.04.13
今年から当院では医療脱毛に力を入れています。サロンでの脱毛や、今や家庭用脱毛器などもあり、多くの人が光脱毛機に触れた経験がある時代になりました。同時に低コストで気軽なイメージを持つ方も多くなっています。しかし、脱毛や減毛できるということは、身体の皮膚という臓器に侵襲が加わるから起こる事象です。そこにはやけどや皮膚炎などのリスクを伴うということも理解しなければなりません。医師でない方がどこまでこのことを理解して、また有害事象発生時の対応について、医学的な問題や法律的な問題が問われることもあります。当院の患者さんの声を聴くと、
・一定の脱毛効果が得られるまで、施術回数が10回以上、もしくはほとんど効果がない
・安価なサロンで顧客が込み合い、次の施術ができない。
・やけどや硬毛化のリスクについて、説明がなされていない。
今年から、アメリカ、キャンデラ社製のロングパルスアレキサンドライトレーザーが、医療脱毛に対し厚生労働省からの承認を得ることができました。つまり、国はこのレーザーによる脱毛行為に一定の評価をし、皮膚レーザー治療が唯一可能な医療機関での脱毛を認めたということです。
当院ではこのロングパルスアレキサンドライトレーザーを使用した医療脱毛を行っています。レーザー治療器がボストンからクリニックに送られてきました。
すでにたくさんの方に評価を頂いております。
このキャンデラ社のジェントルシリーズというレーザーは国内の医療脱毛ではトップシェアの歴史ある実力派です。特殊なものではなく、多くのクリニックに導入されているものです。岐阜市内でも数件のクリニックで稼働しています。
・十分な知識と技術を持つ医師、看護師が、必ず医師の指示の下、施術します。
・完全個室で施術します。また、保険診療とは別のフロアーでゆったりと過ごしていただけます。
・医師より医療脱毛についての十分なインフォームドコンセントを行います。
・比較的、安価な価格で提供します。
・予約はなるべく希望の日にできるようにします。遅くとも数日以内で可能です。
当院は、ほかにもシミ、シワ、たるみ治療など、定評ある機器で治療を行います。お気軽にお問い合わせください。
2017.03.12
先日、当院のたるみ治療器HIFUのメーカー、Jeisysのユーザーズミーティングに参加してまいりました。
美容医療の中で、「脂肪」というキーワードは大変大きなウエイトを占めています。脂肪吸引、脂肪溶解、脂肪移植、脂肪幹細胞、脂肪注入などです。また、HIFUは脂肪に急性ダメージを与えて脂肪細胞のnecrosis(壊死)を起こし減量、引き締めをし、また、慢性ダメージとして脂肪細胞のapotosis(自己死)を誘発し減量させていきます。今回は脂肪細胞の機能とメタボとの関係について杉浦先生の講演があったので、備忘録としてご紹介します。
現代人の脂肪細胞の大きさは70㎛~90㎛と言われます。原始人から明治の日本人ではもっと脂肪細胞は小さく、30㎛~40㎛です。健康な肥満では脂肪細胞が大きく膨らみ、140㎛の限界まで膨らみます。脂肪細胞はその周囲に細い血管が走行しており栄養されています。ぐるっと一周ではなく、半周のみ血管が取り巻いているような配置です。
1996年に日本で発見報告された脂肪細胞から分泌されるホルモンです。
アディポネクチンの主たる作用として、抗動脈硬化作用、インスリン分泌促進作用があります。すなわち、高血圧、糖尿病の発症予防に必須のホルモンと言えます。自己の脂肪細胞から分泌され、生活習慣病を防いでいるのです。
そこで、痩せていれば、生活習慣病にならないのではという考えはなくなります。なぜなら、痩せすぎは脂肪細胞自体が少なくなり、するとアディポネクチンの分泌量は減少してしまうからです。
では、太った方がアディポネクチンは多く分泌されるのでしょうか?noです。
140㎛まで膨れた脂肪細胞はβ14面体という形になり、ぎゅうぎゅうに整列します。自然界の最密充填形であり、最も安定した構造であるβ14面体の配列した例として、佐賀城の石垣やビールの泡、カニの泡、ザクロの実などがあります。ウィア=フェラン構造とも呼ばれます。このように最密充填形に配列すると、脂肪細胞の間を走行する小血管(生体での30%の量)が圧迫されます。脂肪細胞、特に内臓脂肪(体脂肪より1.4倍のアディポネクチンを産生する)が虚血に陥り、虚血に陥った脂肪細胞はアディポネクチン産生を低下させ、血管が圧迫されると高血圧を起こし、メタボリックシンドロームになると考えられるのです。
このように虚血状態の脂肪細胞が、ダイエットで縮小させ戻していくとします。すると再びさらに活発に大きくなろうと、また脂肪細胞の数を増やそうとしていく傾向がり、リバウンドのメカニズムといえます。
2016.12.05
株式会社マルホから、11月に発売されたにきび治療薬エピデュオゲルの発売記念講演が東京赤坂ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われました。当院のニキビ治療は過酸化ベンゾイルBPO(ベピオ:ピーリング作用と殺菌作用)を中心として、適正な抗菌薬とアダパレンADP(ディフェリンゲル:角化の抑制作用)を併用して治療を行っています。面皰の時期、炎症性皮疹、維持療法、各症状にあわせる、「適剤適症」を心掛けなければなりません。エピデュオゲルはADPとBPOの合剤です。すべてのニキビのステージで使用可能です。今日の講演で自分なりのトピックスと私の私見をまとめてみました。
副作用としてirritation刺激感や紅斑、落屑、乾燥感があります。出現率はディフェリンゲルとエピデュオゲルは同じぐらいとのことです。効果は1+1≧2と思うのですが、副作用出現率が同じぐらいとはとてもありがたい話です。しかし、混合にすることで、レチノイド反応様の副作用以外に、かぶれのような炎症も起こりやすくなったのではという皮膚科医もいるようです。当院ではそこまで使用患者さんはおられません。
副作用の予防に、患者チュートリアル(個別のカウンセリング)を重要視します。塗り方や副作用への対処方法などを、しっかり説明するのです。演者の診療所では待合でipadを使って動画で塗り方などを説明しているとのことで、とても良いアイデアと思いました。このチュートリアルが行われた場合、副作用の発現率は34%、行われないとなんと80%だということです。
副作用は使用開始から3日から3週間程度起こりえます。徐々に塗る面積を広げていくことで発現率を抑えます。起こってしまったら、1日おきに塗る、あまりにひどいと2~4週間の休薬もあり得ます。また他のピーリング剤(クリニックやホームケアでの)を併用してはいけません。適応年齢は9歳以上です。
にきび皮疹の減少率について、国内臨床試験データは、エピデュオとベピオに有意差はありませんでした。海外データは有意にエピデュオがベピオより効果があります。
なぜこのような違いが生じているのか、演者の林先生のご見解は、日本においてはもともとベピオ使用者が少ない、その中で臨床試験を行うと有意差が出にくいことが考えられる。また、海外はOTC薬でBPOを市販で入手可能です(にきび用コスメにも入っていますから)。それでも良くならないという人が病院を受診して試験に参加するので、海外では有意差が出やすい。とのことです。
皮膚科の先生は保湿にヒルドイドローションを使用していることが多いようですね。ヒルドイドのクリーム基剤はにきびには適さないという見解があります。保湿をしたらにきびが良くなると思い込んでいる医師も多いし、私もそう思っていたのですが・・・。とにかくノンコメドジェニックと表示のある化粧品を使用すべきです。保湿のタイミングは、副作用の出方によって、保湿後に薬剤、または保湿後に薬剤を塗布しさらにもう一度保湿剤を重ねるのも、なるほど良い方法だと思いました。
このぐらいの花をクリニックにも飾りたい、いつもそんなことばかり考えています・・・。
ロビーも盛況。全国からにきび治療を精力的に取り組んでいるドクターが200名ぐらいかな、大きな講演会で、盛り上がっていました。私も参加できてとても良かったです。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック にきび ニキビ ざ瘡 ベピオ ディフェリン デュアック エピデュオ など ニキビ治療薬に関する投稿
カテゴリ:美肌(小じわ・毛穴・にきび)
2016.11.30
大阪の大腸肛門専門クリニックの佐々木先生の講演を拝聴いたしました。とてもお話がわかりやすく、自分の知識の幅が広がりました。おしりと美容の話です。
毎日便通があると、健康的に思えるかもしれませんが、痔患者の8割は毎日便通がある人だそうです。これはどういうことかというと、便秘には、
1)便の製造と運搬を行う大腸の弛緩やけいれんによる便秘(おなかの便秘)と、
2)出口に便が来ているにもかかわらず排泄できない便秘(おしりの便秘、直腸性便秘)
があります。問題は後者の2)の便秘です。この場合、何日も排便がないというわけでなく、毎日排便しているが、直腸から出し切れていない、つまり前の日の便が残ってしまって、次の排便時にはこの古い便を出してから続いてその日に製造された新しい便を出すということです。
本来直腸は常にからっぽで、便が製造されて直腸に来たとき、便意を催してすべてを出し切る、というのが正常です。しかし、ここに溜まってしまっているおしりの便秘とは、直腸に便が来ても便意が弱い、感じない、排便反射が弱い、排便しても排泄力が低下しているなどが理由で、その日の便が残ってしまう状態です。
直腸に停滞する残便は、肛門の静脈のうっ血を助長し痔核(いぼ痔)の原因になります。また、排泄時にこの硬くなった残便により粘膜が傷ついて裂肛(切れ痔)になります。
残便の便中成分である、インドールやスカトールは便臭の元ですが、これらが粘膜から吸収されて口臭の原因になります。そして、ニキビや肌荒れにもつながると言われています。
さて、この残便が停滞する直腸性便秘(おしりの便秘)の原因は、「がまん」と言われます。がまんを習慣にすると、便意が弱くなり、排泄力が低下していきます。
いつも残便から排出されるので、便の出始めが硬く、続いてその日に作られたばかりの柔らかい便が出るという排便になります。毎日排便があっても、残便が生じるようでは隠れ便秘であり、痔疾患の8割は毎日排便しているが、残便のある人ということになります。
おなかの便秘でない場合は正常に便が作られているわけですから、残便による便秘の時に下剤を使用すると、下痢になります。
残便で裂肛になり、その後下痢便が通過します。そしてその下痢便も残便になり、裂肛部にとどまります。傷を汚染して感染することもあります。それが続くと肛門狭窄にもなりかねません。直腸性の便秘にはレシカルボン座薬や浣腸が適しています。間違ってもアントラキノン系と呼ばれる下剤を乱用してはいけません。
センノサイドを代表とする大腸刺激性の下剤です。この下剤の問題点は長期にわたって使用すると腸管メラノーシス(リポフスチンにより、腸の壁が真っ黒に色素沈着します。)を生じます。3か月程度で発症します。また、依存性のある下剤であり、下剤がないと排便できない、肛門狭窄を起こせば下痢でないと排便できない状況になる可能性もあります。乱用や漫然投与は注意です。
アントラキノン系はセンナ、アロエ、カスカラ、サグラダ、ダイオウなどです。センナには熱帯に自生するマメ科の植物でカッシア・アラタ(ゴールデンキャンドル、キャンドルブッシュ)などが含まれます。
センナの果実・葉は医薬品として扱われるので、食品である健康茶などに含まれてはいけないようです。しかし、ダイエット効果をうたっている健康茶などに含まれていることがあり、注意が必要です。 センナ、アロエなどアントラキノン系が含まれており、ダイエット効果、お通じの改善満足度99%。これは下剤という、薬剤の効果なのです。腸管メラノーシスや依存性のリスクがあるのではと考えられます。
おなかの便秘にはアントラキノン系ではなく、よく腸の検査で前処置に使用するラキソベロンやジェネリックのピコスルファートナトリウム錠が、依存性もなく妊婦にも使用できます。おしりの便秘ではレシカルボン座薬(直腸でガスを産生し、刺激します)、浣腸が安心して使用できます。
このような言葉が正式に認められています。シャワートイレの害です。
・洗浄のしすぎで、肌荒れし、かゆみや不快感、びらんの原因になります。
・衛生上の問題です。相当汚染しています。ビデなど使用すると、膣炎や膀胱炎になることも。また、ヘルペスやコンジローマなどの性感染症をうつされることもあります。
・がまんしない
・シャワートイレを使用しない
・洗いすぎない、乾かしすぎない
・トイレは5分以内
・2時間以上同じ姿勢を取らない
・飲酒は3日おきに
最後にフロアからVIO脱毛について問題は無いか質問がありましたが、においが気になるようになったという人がいるようです。