院長ブログ
Diary of Gifu Skincare Clinic
2016.06.04
第42回日本熱傷学会に参加してまいりました。
今回のお目当ては、形成外科専門領域講習といって、形成外科専門医の維持・更新に受講すべき講演を聞くことでもありました。大学の教授先生の講演でした。
内容はやけどのみならず、瘢痕(きずあと)全般でしたので、明日からの臨床にもいろいろつながる最新知識を得ました。実際の現場で感じることと合わせて、まとめてみます。
患者さんにはよく、皮膚の断面図を見せて、真皮の真ん中より深い傷は痕が残ると説明しています。組織学的には真皮乳頭層あたり、8/1000inch 0.2mmの深さまでだと、肥厚することは無い、真皮網状層に達すると深くなるにつれて肥厚の具合も強くなる。これを実際にボランティアのヒトで実験した写真を見せていただきました。たとえばニキビの炎症も、どの深さまで強く炎症を起こして組織が破壊されたか、これが乳頭層までなら痕が残らないが、網状層に達していたら肥厚性瘢痕になりえたり、ニキビ跡が残ることになります。また、採皮部位も確かに肥厚性瘢痕になってしまった人がいますが、どの深さで採皮するかが、一番大きな要因と思います。
ちなみに浅達性2度熱傷の水ぶくれが破れたとき、水疱底が赤いとホッとするのですが、真皮乳頭層の豊富な血管網が赤く見えているのです。
ケロイド・肥厚性瘢痕はこの真皮網状層での強い慢性炎症の結果。
①部位 頭頂部、上眼瞼、下腿前面にはまず発生しません。講演では、頭頂部も下腿前面も皮膚が動きにくく、力学的な刺激がないから。また上まぶたは皮膚が柔らかく、傷に緊張がかかりにくいから。たしかに、でも、上眼瞼と鼻根部にかかるような傷だと、偶に肥厚してしまうケースを私は経験します。鼻根部になると、まぶたの動きに対して緊張がかかっているからと考えられます。
②力学的な刺激 真皮網状層は傷が治癒しても3か月かけて抗張力が90%まで回復します。この間に、ストレッチがかかるとケロイドが発生しやすいと言われます。3か月は安静が必要ですが、リハビリも必要なので、どうするかということです。
ケロイドの重症化しやすい方向があります。たとえば腹部のケロイドは縦方向に伸びていきますし、胸のケロイドは横方向に伸びていきます。腹部は腹直筋で縦方向のストレッチがかかりやすい、胸部は大胸筋の運動で横方向のストレッチがかかりやすい、伸ばす方向にケロイドが大きくなるのなら、その方向に対し垂直に切った傷はケロイドになりにくいということです。垂直方向に切れなくても、その方向の成分を少しでも少なくする努力が必要です。このことを腹部正中切開のデザインで示していましたが、私も初めからジグザグもしくはウェーブと思います。横切開は肥厚性瘢痕の炎症が比較的早く治まります。(実際はそうでもない人も経験していますが、2年あればかなり良くなっているかと思います)
①高血圧 メカニズムはまだ研究中とのことですが、固くなった血管にストレッチがかがると、正常より多くの発生因子が出るらしい。ケロイド体質に高血圧を伴っていると要注意。
②サイトカインの多い人、時期。 キャッスルマン病でIL-6が過剰な人の例が出ていましたが、熱傷において、サイトカインストームの時期の手術はケロイドリスクが高くなると。採皮も含めて。
③性ホルモン エストロゲンが多いとリスクが高くなる。なので若い女性はホクロの除去も注意が必要。テストステロンも同様。男性は40代でテストステロンが減っていくので、女性より、リスクのある時期を早く脱する。
手術治療については割愛しますが、私が今回当院でもちゃんと導入したいと思ったのは、シリコンテープのメピタックと、ステロイドテープ(ドレニゾンがweakに対して、strongの)エクラープラスター。小児など皮膚の薄い人はドレニゾンが第一選択かもしれないが、成人はエクラ―が良いようなお話でした。肥厚の薄い初期から使うべきです。
シリコンジェルシート(エフシート、ケアシート)はなるべく大きく張ることで張力の掛かりを抑える役割があります。私は圧迫が目的と思っていました・・・。
赤みの治療でよくdyeレーザーを打つ方もいますが、ロングパルスNd:YAGで深く真皮網状層まで到達させないと効きにくいようです。
カテゴリ:熱傷(やけど) 瘢痕・ケロイド(きずあと)
2016.05.18
埋没法に関して。挙筋法といって、埋没糸を挙筋やミューラーにかかるようにしている先生が多そうな感じでした。眼瞼下垂をきたすこともあるので注意が注意が必要ですが、うまく工夫すると開瞼が軽度改善する症例もあるようです。糸のかけ方に、front tarsus techniqueとmasucle tarsus techniqueがあるのですが、FT法は自分自身経験が無いので、表から瞼板にうまく掛けるのにコツが要りそうな印象です。
埋没と切開の利点がまとめられていました。埋没は、傷にならない、取り返しがついて、変更もできる、ダウンタイムが無い、うまくかけると下垂の修正もできるとのことで、切開法はたるみの除去ができる、脂肪の除去ができる、下垂の矯正ができる、消失が少ないということです。
座長の先生が埋没を大変上手くこなしている写真がありましたが、現代ニーズには最もあっていると思っています。
高濃度ビタミンCは民間療法ではなくEBMに基づいているもの。やはり、最近は美容目的で12.5∼25g、がん治療で50gが主流のようです。私もがん患者さんに投与して思うことは、疲労感の改善効果、夜間頻尿の減少、うつ状態や意欲低下の改善など、実感があります。投与に関しては硫酸マグネシウムの混注がポイントで血管痛を顕著に改善可能。ビタミンCがすぐにwash outされることに関しては、IVCの場合は細胞内にcharegeされ、1週間程度効果の持続を望めるとのことでした。
ホルモン補充療法は日本での普及が他の先進国に比較して極端に遅れているようです。LOH症候群late onset hypogonadism加齢性男性性腺機能低下症候群いわゆる男性更年期に的を絞って解説、症状は認知力や感情の低下、メタボリックとなり、心血管イベントの増加、筋骨の機能低下、性機能の低下、肌のエイジング減少などなど。AMSスコアを見ると、意外に自分にも当てはまっている・・・。テストステロンやDHEAの補充療法を行います。テストステロンはグローミンクリームによる外用が安全で、内服やペレット(数か月ごとに皮下投与)は輸入です。前立腺がんのリスクAGAのリスクははっきりとは無いとのことでした。
その他、EDに関しては、40代以上の6割も罹患率あるようで・・・。陰茎海綿体の血管機能低下や動脈硬化と言われています。中折れが初発症状で多いのも、泌尿器科医で無い私には初耳でした。最近の性感染症は梅毒が数年で10倍に増加、バラ疹を全身の他に、手掌足底にはっきり出ているのが特徴。
海外でも上記のようなmen’s health外来が増加しているようです。
動脈塞栓は即時に起こるトラブルで、術者がパニックにならないように対処します。皮膚に関しては環流域のまだらな皮膚障害と強い疼痛(急に叫ぶぐらい)その後の微小な皮膚膿胞形成です。ヘルペスやアレルギーと鑑別すべき。また網膜動脈塞栓では突然のブラインドです。注入部とその周辺に生食で溶いたヒアルロニダーゼを30単位/1pointぐらいずつ、大量に(1000単位でも)に注入、ブラインドの場合は一時間以内に球後針で注入するぐらいでないといけない。ヒアルロン酸を詰めた動脈をヒアルロニダーゼの溶液に浸し、その後動脈を開けてみるとちゃんと溶解していたという実験で、やはりダーゼを血管内に注入しようとせずとも、吸収されるため有効であろうということです。クリニックにあるダーゼをすべて使うつもりでということを何度も強調されていました。しかしもし可能ならば、眼窩上動脈などを露出させ直接注入するのが良いのでしょう。
遅発性のトラブルでは、炎症性の結節か腫脹が挙げられます。膿瘍であればドレナージと抗生剤、肉芽腫であればヒアルロニダーゼ、biofilmが考えられるのであれば抗生剤、ステロイドが順に適応となります。過去に同部に他の注入剤、例えばダーマライブ、ポリアクリルアミド、ポリL乳酸、シリコンオイル、ハイドロキシアパタイトなどがすでに注入されている場合は、組織学的検討で自分の注入したヒアルロン酸が原因なのか、同定できるということです。
MEDJETという針無しで、皮内注射ができる機器を試させていただきました。炭酸ガスの圧で、0.03㎜径の皮内注入が可能です。蚊の針が0.06㎜でそれより細いです。ほぼ痛みが無いです。半日ぐらいは赤味がありますが、何といっても注入が正確、痛みがほぼ無し、早い。毛髪再生療法HARGなど、ハンドで注入が難しい時に威力を発揮します。メソや多汗症ボトックスに応用できそうです。
自分でやってみました。
是非導入したい機器です。
当院では多汗症はボトックスによる治療が主ですが、viewHOTというフラクショナルニードルRFによる治療器を見せていただきました。
カテゴリ:アンチエイジング ヒアルロン酸-しわ 多汗症 重瞼術(二重まぶた) 院長ブログ
2016.05.11
ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を皮膚内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、汗腺から発汗させる神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、発汗量が低下し、生活の質を改善します。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
患者さんによっては脇を見せていただいているうちに汗が吹き出している方も多くお見受けします。
多汗症の部位にボツリヌストキシンを注射します。
初めに、注射範囲をマーキングします。アイスパックで冷却し、約1~2cm間隔で範囲内の皮膚内に注射をしていきます。必要に応じて麻酔クリームによる表面麻酔を施してから注射します。以下、脇汗に対する治療で実際の写真をお見せします。
汗の吹き出している方はその範囲を中心にマークします。
患者さんによってはイソジン消毒薬と片栗粉を使って、汗の水分をヨウ素でんぷん反応で染めて範囲を特定することもあります。
当院では注射の間隔はやや狭く細かく注射しています。写真はマーキングしたところです。
また、アイシングのみで注射の痛みが耐え難い方は、エムラクリームという表面麻酔クリームを使用し、30分程度浸潤させてから施術します。
マーキング沿って、注射します。両脇で10~15分程度時間を頂きます。
1)施術部位の腫れと軽い鈍痛は数日で治まります。
2)皮下出血が生じた場合は1~3週間で徐々に消えていきます。
3)2~3日目で薬が効き始め、1週間程度で効果が安定します。
4)4~8ヶ月で薬の効果が弱くなり、再び発汗が気になるようになります。
5)定期的に注射を繰り返すことで、生活の質を保ちます。
・施術部位の腫れ、鈍痛、皮下出血が生じることがあります。これらは時間の経過とともに消失します。
・効果の現れ方には個人差・左右差がでる可能性があります。これらは量の不足、広がり方のムラで生じます。必要に応じて追加注入することがありますが、次の注入まで数か月待つことが望ましいとされています。
・稀ですが薬剤に対して耐性が生じることがあります。この場合、全く効果が現れない可能性があります。
・以下の方は施術不能なことがあります。神経筋疾患、呼吸器疾患、薬剤アレルギー、服薬中、妊娠中、授乳中の方。
・施術後、2~3日は入浴、サウナ、激しい運動、アルコールは控えてください。ボツリヌス製剤は熱とアルコールで失活するためです。効果発現まで控えてください。
・シャワーは当日から可能です。
・施術部位のマッサージなどは、術後1ヶ月は避けてください。
・女性は治療後2回の月経が終わるまで、男性は3ヶ月間は避妊をしてください。
カテゴリ:多汗症
2016.05.05
大きな病院で形成外科の診療していますと、再建外科という分野の手術があります。体の一部分を、ケガや病気で欠損した部分に移植するものです。移植した肉片(皮弁)は移植先で生かすために、血液を通わせないといけません。そこで、手術用顕微鏡を使って、移植先と移植する皮弁の血管を細い糸で縫ってつなぐという手技です。
たとえば左の写真は、中咽頭がんという、のどの粘膜のがんで、耳鼻科で切除した後に、形成外科で再建をしました。欠損したのどの奥の壁を左腕(手首付近)の皮膚や皮下組織を移植するという方法です。矢印は腕の血管(橈骨動静脈)を首の血管(頸横動静脈、内頚静脈)とを細い糸(髪の毛より細いです)や、特殊なリング状の器具を使用し縫い合わせたところです。血管の直径は2~3mmです。
私はマイクロサージャリーは形成外科専門医を取得するころに特に多く手術する機会を得ました。当時の上司が大変丁寧に指導してくださって、幸い成功率も一般的な成績を出していました。特殊な手技ですし、形成外科の中でも練習が必要な手技ともいわれています。医局には練習用の顕微鏡と練習用の血管モデルがおいてあり、若い先生がいつでも練習できるようにしてあります。
先日ウサギを見て思い出しました。
ある大学の形成外科は実験用動物であるウサギの耳を、一度切断し、再度、接着させる、つまり顕微鏡下で血管吻合をして、つなげるという、トレーニングをするそうです。
ウサギの耳に耳介中央動静脈という、血管が見えます。真ん中縦に走る血管です。確かに、マイクロの練習には良さそうな太さだなあと思って、見ていました。
カテゴリ:マイクロサージャリー
2016.05.04
この眼瞼下垂の手術を過去に受けられた方で、もう一度手術したいというご相談は、たまにあります。
①下垂が矯正できていない。
②左右差がある。これは眼の開け具合の左右差と、二重の幅の左右差があります。
③眼の形がおかしい。特によくあるパターンは、通常、目を開けた時の上まぶたの弧状の線(瞼縁)の形は中央よりやや内側がピークです。しかし、中には中央のみがしっかり上がっていて、内側が全く上がっていない(lateral triangle)というのは良く見かけます。
④矯正が強すぎてギョロメになっている。もしくは閉じにくく乾燥性角膜炎になっている。
⑤吊上げ術などで矯正し、内反(逆さまつ毛)になってしまった。
上記の他にもいろいろな訴えがあります。再治療できること、できないことがありますので瞼の手術に慣れたDrにご相談されるべきです。
上記の修正方法はまたの機会に譲ります。術式の前に、眼瞼挙筋腱膜にアプローチする手技が少し注意深く進めないとなりません。癒着していることがあるからです。初回手術のDrが丁寧にしていたら割ときれいにアプローチできます。それでも瞼板と皮膚はしっかり癒着していますし、挙筋腱膜上にも部分的に癒着していることもあるので、細心の注意で行います。
この写真は初回手術で挙筋腱膜に矯正の糸を通しているところです。組織がキレイに簡単に展開できます。
この写真は修正の症例です。内側に癒着があり、剥離時に一部小さな損傷を余儀なくされたので、糸で縫合して修復しているところです。
2015.12.13
ほくろの除去方法で有用なものとして炭酸ガスレーザーもしくはエルビウムレーザーによる蒸散があります。
本日、レーザーメーカーのルミナス社が主催するセミナーに参加しました。みずぐち形成外科の先生のご講演を聞いて、私も全く同感と感じたことがありましたので、ご紹介させていただこうと思います。
レーザーによるほくろ除去は部位によってはとても目立たなく綺麗に治るもので、お勧めの治療ですが、以下の部位はちょっと注意が必要なのです。
レーザーでほくろを蒸散すると皮膚が陥没します。湿潤療法でそこを治療すると盛り上がって平らに治癒するのですが、この部位は確かに若干の凹みを残すことがある気がします。私の患者さんだけでなく、他院のケースもそう思います。また、この部位はミーシャ型といって盛り上がったほくろが多いのですが、周囲を上手に処理しないと周堤が残存し凹んだように目立つこともあると思います。
手術でも同様ですが、口は顔面の中でも比較的良く動くところです。術後すぐの傷痕に動きによるストレッチが刺激となると、肥厚性瘢痕といって、盛り上がった傷痕になることがあります。数か月から1年ほど若干の盛り上がりや赤みが遷延することを良く経験します。
これもよく経験します。先日も他院で腕の小さいほくろを10か所ほど一度に焼灼した方がみえました。傷痕が気になるとのことで半袖が着づらいといわれました。確かにパッと見、白い点状の瘢痕が目立ち、眼が行ってしまいます。腕はやりすぎず、一つづつ責めた方が良いと思います。実際、目下進行中の患者さんは割とお見えです。また。手背などは色素沈着もかなり長引くので注意が必要です。
そういえば、中年以降の方はあまり気にならないのですが、肌にハリのある若年者女性は、確かにしっかり目に削ったつもりでもポイントで再発するものが多い気がします。再発時はそれほど深く削らずとも取れると聞きました。それも確かにそう思います。初回治療時よりかなり楽にメラニンが落ちます。
水口先生、ご指導ありがとうございました。
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ)
2015.10.02
粉瘤の根治的な治療法は完全摘出です。しかし、感染している感染性粉瘤では、根治的な摘出がしづらいので、ひとまず排膿のみ行い、後日感染が治まってから根治的摘出を行うことが多いです。
また、摘出方法には一般的に単純な皮膚切除(紡錘形デザイン)と嚢腫摘出が行われます。紡錘形デザインは粉瘤の最も表皮の浅いところを切除範囲に含めます。長さは直径に合わせます。嚢腫を破らずに完全に取ることができます。この摘出方法は傷痕が線状に残ることになります。距離のある線状の傷痕が気になる部位では好まれませんが、確実性の高い治療方法です。
傷痕を最小限にするために、くりぬき法があります。粉瘤の最も浅く存在する場所を中心に小さな皮膚パンチで皮膚をくり抜き、そこから粉瘤の内容物をまず圧出して無くし、その後嚢腫壁を剥離して摘出する方法です。
傷痕が小さな丸い瘢痕で済みますが、小さな穴から嚢腫壁をはがしていくと良く見えないところや癒着の強いところで破ってしまい取り残すリスクがあります。嚢腫壁が取り残されると再発の危険性が増します。粉瘤の中には嚢腫壁が大変脆弱なものがあり、すぐにズタズタに破れるので心配です。また感染した粉瘤は紡錘形デザインで取ろう思っても感染のためほぼ確実に嚢腫壁がズタズタです。それならばまずくり抜きで排膿し、取れるだけ嚢腫壁を取りだし、取り残した恐れのある部分は書き出すように組織を引き出し綺麗にするしかありません。粘って丹念にこの操作をすると、たとえ感染性粉瘤でも割と再発せずに過ごすことが多いと思っています。
岐阜市薮田南3-7-7 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック おでき、できもの、粉瘤、アテローム、脂肪の塊、くりぬき摘出法に関する投稿 大垣市 羽島市 各務原市 瑞穂市など近隣都市からもご来院いただいております。
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき)
2015.10.01
ほくろは誰にでも一つぐらいはあります。たくさんある人も大勢みえますし、年齢とともに増えてきたり大きくなることもよくあります。そのため整容的にほくろを除去したい、また皮膚癌が心配という人も多くおみえです。
ほくろ除去には主にメスなどで切除する方法と炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーで削って除去する方法があります。いずれの方法でも、除去後傷あとが残ることと、再発の可能性があることを承知しなくてはなりません。
ほくろ除去後の再発は、わかりやすく言うとホクロの細胞(母斑細胞)の中でもメラニンを産生するものが取り残ったと考えられます。実際、肉眼ではホクロの辺縁を綺麗に取れたと思っても、数か月後に縫合部から色が再発したり、十分な深さで除去したと思ってもメラニン産生細胞が脂肪組織近くもしくは脂肪組織に存在し、取り残っていしまっていることも稀にあります。再発についての詳細
極端な話、黒いほくろから十分に距離を取って切除すれば絶対に再発しません。良性疾患ですから。しかし、良性だから無駄に大きく健常部位を切ることは避けたいです。極力ぎりぎりで辺縁を設定します。私は必ずデザインをダーモスコープで確認しています。ダーモスコープは皮膚を10倍に拡大し、十分な光量で真皮の病変まで診断することができるツールです。
肉眼よりも確実に、色素性病変と健常部位の境界を確認することが可能です。写真は切除ラインを赤い線でデザインしました。茶色の色素は線の中に確実に含まれています。
切除は皮下脂肪浅層をつけて切除します。辺縁に取り残しはないことをダーモスコープで再度確認したところの写真です。
傷は最小限に、再発リスクも最小限にするための一工夫をご紹介しました。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック ほくろ 除去 岐阜市 大垣市 各務原市 羽島市 瑞穂市
カテゴリ:母斑(あざ・ほくろ)
2015.10.01
擦り傷や切り傷の治療方法で正しいものはいくつかありますが、正しい考え方は一つです。それはmoist wound healing湿潤環境です。傷からは本来浸出液と呼ばれるいわゆるジュクジュクした体液が出てくるようになっています。「かさぶた」はその傷を乾かすことにより浸出液が固まってカチカチになったものと考えることができます。かさぶたが傷にくっついているということは、傷が治っているということとは全く違います。新しい上皮組織が傷をふさごうとする治癒機転を妨げているということになり、かさぶたの下で傷は存在しつづけているのです。時間さえかかればかさぶたの下で上皮が張るのですが、湿潤療法よりは、はるかに遅延します。
また、かさぶたはたんぱく質のかたまりであるので、細菌感染の母地になり得ます。つまり、かさぶたの下で傷が膿んでしまうリスクを抱えることになるのです。
しかし、必ずしも悪いとは言いきれません。従来よりかさぶた逆に、外部からの刺激を遮断するものだという考え方があります。物理的な刺激からや、汚水などからも傷を保護しているという考え方です。たしかに、かさぶたがつくと、痛みも軽減したような気がしますし、水がしみないから楽になります。
はい。行います。2つの方法があります。
①かさぶたを外来処置で除去します。そして傷をあらわにして被覆材による湿潤療法を行います。
これは湿潤療法で湿潤が足りなくてできた部分的なかさぶたなど、比較的痛みなく除去できるなら上記のように処置します。しかし、かさぶたがしっかりとくっついていて、また小児で処置が困難な場合などは②のように処置します。
②かさぶたの上に被覆材で密閉します。すると浸出液が溜まりだし、すでに固着したかさぶたが柔らくなり取れていきます。洗浄や被覆材を交換するたびにかさぶたは取れてなくなっていきますから、通常通り湿潤療法を続けましょう。
感染さえしていなければこれで問題ないと思います。すぐにかさぶたは取れます。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック 湿潤療法・擦り傷・切り傷・けが・かさぶた・創傷治癒に関する投稿
2015.09.29
皮膚の表面にできるできものについて、インターネットでいろいろ検索すると、患者さんは粉瘤(アテローム)が、自分にもある!と気付かれるようです。当院は粉瘤(アテローム)の患者さんが多く来られますが、意外にも「粉瘤ができました」と訴えてくる方は80%で、その他の方は「なんかしこりができたんですけど・・・」という方です。
粉瘤(アテローム)も皮膚良性腫瘍の代表格ですが、上記の80%の中で、本当に粉瘤であることは70%程度といった印象です。30%は他の良性腫瘍ということです。ではどんなものがあるのか、この9月に手術した腫瘍をご紹介します。(以下、術中写真がございますので、苦手な方はテキストのみ読みたいとお問い合わせください)
これは大変わかりにくいのですが、5㎜程度のしこりと、皮膚の表面に孔があります。小さな粉瘤を疑う所見です。
これも小さな粉瘤です。極力小さな傷で袋ごと綺麗に摘出するようにします。
この写真も粉瘤(アテローム)です、切り取った腫瘍から、内容物が出てきているところです。角化剥離物と呼ばれる、垢のような粥状物が充満し、とても臭いです。
この腫瘍は皮膚表面に石ころが入っているかのように固い腫瘍です。表面から透けて青っぽく見えることがあります。(これはよくお子様の顔面で見られます)写真は成人まで育て上げた少し大きめの石灰化上皮腫です。粉瘤や脂肪腫に続いて割と頻度の高い良性腫瘍と思います。粉瘤と同じく、感染することもたまに経験します。
これは足底にできたものです。何らかの原因で、毛細血管が拡張し、このように赤く盛り上がった腫瘍になってしまうものです。教科書的には手術で摘出するのが最も確実で、小さい物は液体窒素で冷凍凝固することもあります。次の写真は頭皮にできた血管拡張性肉芽腫です。
今回は単発でしたが、多発性脂腺嚢腫という疾患もあります。一見粉瘤ではないかと思って手術しましたが、剥離すると薄い皮膜に包まれた脂腺嚢腫ということでした。
乳輪にあるブツブツで、モンゴメリー線です。美容外科にはこの乳輪のブツブツを除去してほしい方がお見えになります。小さいですがわずかでも傷痕が残っていしまいますが、ご希望により摘出します。写真はおそらくモンゴメリー腺とその周囲の結合組織と思います。モンゴメリー腺は生理学的な意味があります。
・わきがで有名なアポクリン腺という汗腺の一種で、乳腺が開口しているモンゴメリー腺もあります。児の哺乳意欲を高めるような匂いを分泌すると言われています。したがって、モンゴメリー腺の数が多いほど、生後の生理的体重減少が少なく済むと言われています。
・一つに乳輪に7~8個と、ある程度数が決まっているようです。また、乳輪の中でも上外側に多く分布します。この場所は乳児の鼻が当たりやすい場所です。
カテゴリ:皮膚良性腫瘍(おでき)